#42◇ 見えないモノ。 ページ43
＜青 side＞
ほぼ毎日、レッスン。
この間シングル曲のレッスンが終わったかと言えば、もうすぐにコンサートの振り入れと場当たり確認などなど。
もう少し休みがほしい………
と思うのは、エゴなのだろう。
櫻｢智くん｣
｢おぅ、おはよ｣
櫻｢Aなんだけどさ、部屋の隅で縮こまってんの、もしアレだったら声かけてくれる？俺でも対処できなくてさ｣
｢え？｣
櫻｢理由が分かんねぇの、1人になりたいのか、なんなのか……｣
レッスン部屋のあるビルに入るや否や、翔くんとすれ違って。
挨拶で終わるかと思ったが、気になることがあると。
｢A、ね｣
櫻｢お願いできる？まだ時間あるから事務所戻ってさ、軽く打ち合わせしてくる｣
｢おぅ、りょーかい｣
廊下でバタバタと話を進め、翔くんは事務所に走って戻って行った。
俺は俺でレッスン室へ向かう。
｢今日は、この部屋か｣
エレベーター、廊下を通って部屋に入ると
｢あれ？いない……？｣
んなはず、ない。
隅っこって言ってたんだから、どっかにいる。
｢……いた｣
扉を開いて、左の隅。
マジの端っこ。
備品が置かれていない、なんなら荷物置き場になる空白のエリアに、ぽつんといる。
｢おはよー｣
返事がない。
｢Aちゃん？｣
『ん？……あぁ、智くんおはよ』
しゃがんで、少し目線を合わせると少し微笑んだ。
Aの右に座る。
Aは体育座りで、左側に壁がある状態。もたれかかってる。
でも、なんか違う。
普段のAちゃんじゃ、ない。
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作者名：harutomo | 作成日時：2023年11月9日 8時
