#25 ページ26
具材を崩し、海苔、アルミホイルと用意してると。
｢ね、Aちゃんは、東京生まれなんだよね？｣
『え？うん、転勤族だって…』
｢じゃあ親は？｣
『どっちも関西。兵庫県』
｢少し訛ってるよね｣
『うそ』
気にしたことがなかった。
関西と関東の生活の違いには何のためらいもなく受け入れてきたが、言葉の違いは気づいていなくて。
……でも確か、滝沢くんの目の前で新品のことを｢サラ｣って言ったら通じなかったのはあったかもしれない。
｢関西弁？｣
『そうなのかなぁ…そもそも気にしたことない』
｢全然いいんだけどさ、たまに出る言葉がイントネーション違ってたり、｢そう言うんだ｣って思う言葉出してるから……｣
『そっか……また聞いてみる』
｢それこそ、｢つりこす｣とか｣
『つりこす？』
｢うん、今｢水がつりこしとる｣って｣
『溢れとるって言えば？』
｢やっぱ方言だよ、聞いたことないし｣
『親に聞いてみよっか？…普段から行ったり聞いたりする言葉使ってるから…周りが標準語でも、家じゃバリバリの関西弁だし』
・
そんなこんなで束の間の話に盛り上がり、ご飯も炊けておにぎりが作れる工程にまで移れた。
『よし、最後は具を詰めて詰めますけども』
｢はい｣
『ギュッギュッじゃなくて、包むように』
｢なるほど｣
『力の入れすぎに注意です』
説明が足りなくて苦戦するかもと思っていたけど。
原くんの腕はさすが、料理男子。
『…………バッチリ』
｢お、いい感じ！？｣
『はい！』
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作者名：harutomo | 作成日時：2023年11月9日 8時
