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事務所を出て、すぐのカフェ。
御用達っていうか、常連になってるカフェ。
メニューも凝らずホットティーを2つ頼み、カウンター席で2人並んだ。
野｢……あれ、さ｣
｢うん｣
野｢言わないつもりでいたんだ、そんなに気にならないようだったら、｢こんな感じだからとりあえず注視しといて｣ってするつもりだったんだけど｣
｢……うん｣
野｢Aのお母さんはね、｢発育が遅れている｣とも言ってたんだ｣
……そういう事実、か。
本当に｢差支えがなければ言わない｣で済むものなんだろう。
野｢あれは…彼女が2歳か3歳の時なのかな。発達検査を受けたって｣
｢結果は？｣
野｢経過観察。……はっきりと判断されたわけじゃないと｣
｢え？そういうのって、はっきりするもんじゃないの？｣
野｢脳の仕組みがどうとかの話になってくると思うよ？人それぞれ違う。Aちゃんは、白黒はっきり付けられない｢グレー｣の可能性があるって｣
野田ちゃんはポケットに入れていた手帳を開き、後ろのメモ欄を見せてくれた。
そこに書いてあったのか……
てか、全部そこに書いとけよ…。
野｢でも今さっきのは焦ったわ…もしあの紙が落ちてたら｣
｢たちまちえらいことになるよ｣
野｢なんならAちゃん本人はこの事実を知らないからな……｣
｢なんで？｣
野｢印象に乗ってないからなのか…それは分かんないけど、お母さんが｢えらい先生の所に行ったの覚えてる？｣って答えには『知らない、覚えてない』って言ったって。そうなると、その日に受けた検査も覚えてないって｣
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作者名：harutomo | 作成日時：2023年11月9日 8時
