【刀剣乱舞】誰もいない本丸 -弐-

56,憎い｜三日月side ページ6

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“俺が怖くはないのか”



目の前の審神者が俺に笑顔を向けた時、憎さよりもそんな疑問を抱いた。



こんのすけには悪いことをしたが
あれは審神者に怯えてもらうためにしたこと。


しかし審神者は怯えることなく、堂々と俺と対面してきた。



さっきまでの出来事をなかったことにしているわけではなさそうだが




その審神者の行動が……、思っていることが

いくら考えても分からない。






「“お主は何のためにここにいる”」


『え、なんのためって…』




敵視していることは知っているはずだ。

それならば、わざわざ遠回しに言うことでもない。



嘘をついてるにしろ、ついていないにしろ
その裏を読むことは容易だ。


今までの審神者がそうであったように。





『……………』




書いた紙を見つめたまま、審神者は固まっていた。

というより考えているような仕草だ。





『……なんて言ったら、三日月さんは満足しますか？』


「…なに？」




審神者の答えに俺は思わず声を出した。

当然聞こえてはいないが、俺の言葉に続いて審神者は口を開く。





『私が憎いから、そんな質問をしているんですよね』


「……………」







『きっとどんな答えを言っても三日月さんは顔を顰めると思います。

だから言いません。生意気な奴だとでも思ってください』





本当に生意気だ。






『無理しなくていいんですよ』





見えないことをいいことに

この審神者は、止めどなく言葉を溢れ出していく。






『私も、三日月さんも、お互い怖いんです』







俺は無意識に、審神者の言葉を受け入れていた。








何も言えない俺が


とても憎い。

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