68,審神者の存在|薬研side ページ18
.
口に手に添えて俺を褒める審神者。
今までの審神者にも…特に女審神者が
恍惚とした表情で近寄って来たりしたが…。
俺は初めて、審神者に対して素直に嬉しいと思った。
審神者の素直さが逆に眩しく感じる。
「……俺も、あんたに礼を__」
そう自分で発した言葉に、次の言葉は出てこなかった。
昨日まで傷が癒えなかった腹に触れる。
「…?…薬研?」
俯いた俺を気にかけた乱が顔を覗く。
「……いや、なんでもない」
“腹の傷が癒えた”ことを
今この場で言ってしまってもいいのだろうか。
この本丸内で傷がない者はいない。
今言ってしまえば、この審神者は
おそらくみんなの手入れをしてくれるだろう。
けれど、俺たちに触れられないこの状況で審神者にこのことを告げれば
俺たちが見えるまで審神者に負担をかけてしまう。
それに…、今より霊力を大量放出しかねない。
兄弟や、みんなが大事だというのに
こんな状況でも審神者を心配する自分に笑ってしまう。
『お礼を言うのは私のほうです。料理を作ってくれたり、倒れてしまった私を運んでくれたり。
皆さんのことを見ることができないのに、こうして私とお話してくれますしね』
審神者の言葉に俺は思わず顔を上げた。
『恩返しをさせてください。
審神者としての素質があるなら、私を刀剣男士の為に使ってください。
この本丸に送り込まれた、捨て駒のようなものとでも思ってくれて構わないです』
__何が起こったのか。
審神者の言葉に、目の前のこんのすけの顔が青ざめ
隣にいた乱がすばやく無線機の電源を押す。
俺はその一瞬の出来事が理解できず固まっていたが
周りにいた弟たちもこんのすけと同じような表情をしていたことに気づく。
「………」
「み、乱…?」
人前ではあまり眉間に皺を寄せない乱が
無線機の電源ボタンを押しながら、苦しそうな顔をしていた。
2838人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
チョコミント - こんにちは。この作品の独特の世界観が好みで続きを読めるのを楽しみにしていたのですが、移動先は読めそうにないとこなのでとても残念です。
移動先でも更新頑張って下さい、応援してます。
無事の完結を願ってます。 (2021年3月19日 14時) (携帯から) (レス) id: 4f4058a2da (このIDを非表示/違反報告)
ta0628tm0105(プロフ) - めっちゃ面白かったです!続き待ってます! (2020年4月12日 22時) (レス) id: 0ed1a1911f (このIDを非表示/違反報告)
青碧(プロフ) - 黒羽ひみとさん» こんにちは!この作品を待ってくださってありがとうございます…!更新できるくらいには元気に生きております!笑 お心遣いとても感謝です。お互い強く生きましょうねv (2020年4月11日 15時) (レス) id: 5415801c28 (このIDを非表示/違反報告)
黒羽ひみと(プロフ) - 更新ありがとうございます!待ってました。世は大変ですが、青碧さんは大丈夫でしょうか?体調の方には充分気を使ってください。続きを楽しみにしています。 (2020年4月9日 23時) (レス) id: 451dd01b35 (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - とても面白いです!ゆっくりでいいので更新頑張ってください! (2019年5月21日 16時) (レス) id: 4da4b68b81 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:青碧 | 作者ホームページ:
作成日時:2018年6月26日 23時