【刀剣乱舞】誰もいない本丸 -弐-

64,無線機 ページ14

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朝餉を綺麗に完食した後、こんのすけから“話がある”と言われ
ズラッと並ぶ紙とペンを目の前に、私は上座でこんのすけを待っていた。


彼は一瞬で消えたがそう時間も経たない内に戻り

なにやら見たことあるようなものを背中に背負っていた。




『……それって、無線機？』



にしては小さめのサイズだ。

こんのすけが私の手のひらに乗せると、それは収まった。




「惜しいです。実はこれ、急遽作られた“刀剣男士の声を聞き取る”無線機なのです」


『なんですって』




「まぁ、貴方が初めての例ですので、正しく機能されるか分かりませんが…」






“刀剣男士の声を聞き取る”

今まで彼らには文字を書いてもらい、罪悪感を感じていたものだから


正直この嘘のような機械に頼りたいという気持ちが大半を占めていた。






『これどうやって使うの？』


「こちらを押していただければよろしいです」





こんのすけの手が無線機のボタンに触れると、ノイズ音が走った。




「むむ…、やはり試作品ですから難しいですかね…」




こんのすけが押すボタン以外、目立った機能はなさそうなので
どこをいじるでもなくずっとボタンを押し続けている。





『試作品ならそうか…。うーん、残念だなぁ』




試しに私がそのボタンをポチッと押してみる。



同じくノイズ音が走ったが
しばらくすると、聞いたことのない音が聞こえてきた。





「…！」


隣のこんのすけが驚いた表情をしている。



『…こ、これって、もしかして…？』








「“やぁやぁ。僕たちの声は聞こえた？”」


『うわっ！』




突然無線機の近距離で声が聞こえたものだから

思わず驚いて無線機を落としてしまった。





「“ありゃりゃ。まだ未完成なのだから大事に使わないとね？”」



そして無線機が浮き、私の手元に戻って来る。








「審神者さま〜！やりましたね〜！」




「“えっ！ボクたちの声聞こえる!?”」


「“審神者〜！俺だ俺！わかるか〜！”」


「“鶴さんってば、声だけじゃ分からないでしょ”」


「“わぁ〜い！たくさんおはなししましょう！”」





こんのすけが私に飛びついてきた瞬間


無線機から、想像もしなかった何十人もの声が聞こえてきたのだ。

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