26 ページ26
＊大先生視点
しかし、トントンの言い方に問題があったのは事実だ。なんやあの婉曲表現は。辞表を書いてから死ねとか、変化球にも程がある。普通に、心配したと言えば良かったのに。
(…まあ、それに対するAの反応も、良くなかった訳やけど)
迷惑をかけないようにします、ちゃうねん。俺らが怒ってんのは、お前が危険な目にあったから、やぞ。それに対して、あの返答はなんだ。そりゃ、トントンも舌打ちするわ。
「…A、あの場ではトントンはキツく言ってたけど。アイツはお前を心配してたんやで」
足を止めることなく、Aに声をかける。前触れなく喋り出した俺に、ロボロとAがぴくり、と反応した。
「俺らから言いたいのは、どれだけ迷惑をかけてもいい。どれだけ困らせてもいい。ただ、心配はさせんなって事やから。…ロボロもそうやろ？」
「…ま、そーやな」
ロボロがよく通る声で、返事をした。
「困らせるのは別にいい。迂闊なのも…まあ許すわ、いくらでも叱ったる。ただし」
彼の声に、僅かに力が籠る。
「勝手に危険な目に合うのはやめろ。…せめて、守る機会を俺にくれ」
沈黙。俺も、あえて口を挟まなかった。
「A、約束や。今から俺が言うこと、今度から守ってもらうで」
ロボロがこちらに振り向く。
「一人で勝手な行動は今後しない、身の危険を感じたらすぐに俺を呼ぶ。ええな？」
「…分かりました」
「絶対に守れよ」
ロボロが畳み掛ける。Aの表情は暗いままだが、先程よりは、どこか踏ん切りのついたように見える。
「ま、今回は無事終わった訳やし！今後気をつけよーねってことで！」
場の空気を変えるように、手を叩きながら言う。そして俺たちは、再び帰路に着いたのだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 937人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
にゃーちゃん - 初コメ失礼します！めちゃくちゃ面白いですッ…!!!もう…好き(語彙力皆無)htrnのモンペ具合が好き過ぎるんだよなぁ…(( 更新頑張って下さい。楽しみにしてます！ (2023年2月28日 0時) (
レス) @page45 id: fd6863f2a6 (このIDを非表示/違反報告)
ビビ - 私にどストライクの作品です！！更新頑張ってください！！ (2021年11月1日 0時) (レス) id: 23a9beafd0 (このIDを非表示/違反報告)
鶏太郎(プロフ) - ソウさん» ソウさん、コメントありがとうございます！ゆっくりとですがじわじわ更新しております！今後ものんびり待っていただけると幸甚です！ (2021年3月24日 0時) (レス) id: 1d5de77dd0 (このIDを非表示/違反報告)
ソウ - 初めまして！前からこの作品を読ませてもらっていたのですが、やっぱり面白いですね！今後の更新も楽しみにしています！ (2021年2月26日 7時) (レス) id: 41f6688bcf (このIDを非表示/違反報告)
鶏太郎(プロフ) - 田中さん» 田中さん、ご指摘ありがとうございます！会話文中にw等を使っていたのは、｢動画内の彼らのテロップに寄せた方が、脳内再生余裕かな？｣と判断していたためです。自身でも悩んでいた部分でしたので、大変参考になりました！次回からちょっと試してみますね！ (2020年9月2日 19時) (レス) id: 10d9e4ee33 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鶏太郎 | 作成日時：2020年8月28日 23時
