また四つ ページ4
学園に連れて行かれて、そのまま学園長室へ通された。
おずおずとその扉をくぐると8人の人がいた。
その誰もが俺を見て目を見開く。
「時透有一郎くんです。鬼殺隊に入りたいそうです」
Aさんに肩を押されて会釈をする。
「あ、ああ…有一郎…か」
「鬼殺隊に？」
そうザワザワする8人の奥、静かな優しい瞳を俺に向けた学園長。
「そうか…どうしてかな？」
「今世こそ、無一郎を守りたいんです」
「君の正義は、いつか君の首を絞めるだろう。それでもかい？」
「はい」
「…Aはどう思う？」
後ろを向くと目を伏せたAさんがいた。
「私は…私は、」
その口から薄く息が吐き出される。
「私は、反対です。今の鬼はそう強くも多くも無い。隊士の量は必要なく、今のままで充分回せています。これ以上、隊士を、人を危険に晒す必要はありますか？」
しんと沈黙が張り詰める。
みんなが釘付けになるAさんの顔は、苦しそうに痛そうに歪んでいた。
「A…私情は駄目だよ」
そのしのぶさんの声でAさんが力なく項垂れる。
「…ごめんなさい」
「Aの主張もわかるよ。でも有一郎のこの意志はどうする？Aも強い意志っていうものはわかっているよね」
「…そ、ですね」
「だから有一郎はAの継子にしよう。戦線に立たせる時、訓練などはAに任せるよ」
Aさんは目を見開く。
そのまま断られそうだったので、Aさんに頭を下げる。
「よろしくお願いします！」
上から躊躇うような雰囲気がして、それが消えた頃。
「…仕方ないなぁ」
Aさんは困ったように笑っていた。
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作者名：演狐 | 作成日時：2022年3月5日 17時
