また三つ ページ3
俺には俗に言う、“前世の記憶”というのがある。
その世で勧められた鬼殺隊。
それにこの学園は関係があるのではないかと思った。
学園長の妻の顔は忘れることもないあの美しい女性。
それだけを頼りにここまできた。
この世では、無一郎を1人にすることがないように、強くなりたかった。
でも、守る術も知らないのなら、それはただの無意味な祈りだ。
目の前に立ち塞がる化け物を前にそれを痛感する。
ジリっと音がして、それは自分が足に力を入れて後退しようとするものだと知り、恐怖に自身が蝕まれていることを知った。
でも良かった。
今俺は1人だ。
遅い時間のお使いに出たのだから。
…どうする?どうすればッ
「鬼さんこちら 手の鳴る方へ〜」
緊張感に似合わぬ歌声。
それに顔を顰めた鬼が、数秒の間に首から血を吹き出して死んだ。
「は…?」
「…大丈夫?」
腰を抜かした俺の前に立ったのはAさんだった。
「あ、なた、鬼殺隊の人なん、ですか?」
俺の問いかけに彼女は僅かに驚きの表情を見せた。
そこから推測するに、これは肯定だ。
「俺を、鬼殺隊に入れてください!!」
「無理よ。今の君では無理」
「どうしたら、隊員になれますか?」
「簡単に言わないの」
「俺は、どうしても鬼殺隊に入りたいッ!」
そんな押し問答に折れたのは、Aさんだった。
「わかった…取り合ってみるよ」
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作者名:演狐 | 作成日時:2022年3月5日 17時