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また十一つ ページ11

「山下り行ってきます」

「え?ああ、うん。いってらっしゃい」

唐突にいなくなってしまった紗奈。
その背中を見送っていると汗だくの有一郎が隣に並んだ。

「白百合、すごいっすよね」

「うぅん…あともうちょっと。肝心なところが抜けててさぁ」

あの子はかつてのカナヲちゃんとよく似ている。
蝶屋敷に任せれば、人間らしくなってくれるだろうか?
でもなぁ…こればっかりは自分で、いや、自然になるものだし。

「いい相手いないかなぁ…」

紗奈の恋の。

「なんのことです?」

「ふっなんでもないよ。お疲れ有一郎。少し休憩しな」

手拭いを投げて寄越すと、有一郎はよろめきつつもそれを受け取った。

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作者名:演狐 | 作成日時:2022年3月5日 17時

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