花火

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病院に着いた頃、私は涼に支えてもらわないと歩けないほどに弱りきってしまっていた。
愛する人の散々な姿を見てしまって、正気を保てるほど私の心は強くない。



「お名前、教えて頂いてもいいですか？」



第一発見者と被害者として私たちは聴取を受けることになった。
刑事は２人、両方とも男性であんなことがあったから涼以外の男性を前にすると震えが止まらなくて、涼の右腕にしがみついた。



「橋本涼です。」


『........作間、Aです。』


「橋本さんと作間さん。当時の状況を教えてくれる？」



メモを広げる刑事を前にして、数分前のことを思い出そうとすると吐き気と頭痛がした。
全てを完全に鮮明に覚えているけれどそれを口にできるほどの状態ではなく、思い出すだけで呼吸が浅くなり、呼吸をすることに必死になった。



「すみません。もうお察しかもしれませんがこいつもかなり酷い目にあって、かなりショック受けてるみたいなので後日にしてくれませんか？........あと女性の方に変えていただく方がAも喋りやすいかと。」


「........え、ああ、ごめんね。配慮が足りなかったよね。じゃあまた後日、事細かに聞かせてもらいます。とりあえず、住所と電話番号だけ教えて貰える？」


「はい、住所は........」



涼の発言で、刑事は帰り、私たちはただただ【手術中】の赤のランプを見つめた。
赤は好きなのに今は赤が憎かった。
ごめんね、みずき。









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