林檎と指環 (ページ7)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:29,035 hit

007 ページ7

．

『ほんと、嫌になっちゃう。』

いい具合にお酒が回り始め、お互いの近況報告が終わったところで私のボヤキが口をすり抜ける。

私には女友達というものがあまりいない。
出会った女は揃いに揃って気が合わなかった。
女らしい女は苦手だし、だからといってサバサバしている女は一緒にいて苦を覚えてしまう。
だから1番の親友が男である樹で主婦のボヤキを聞くのも親友である樹の役目なのだ。

「そんなに息苦しいものなのかね。主婦って。」

『もう大変。子供は我儘だし旦那は帰りが遅いしご飯は作らないといけないし、掃除、洗濯も...もう言い出したらキリがない。』

「へぇ。」

私の愚痴を相槌やリアクションを挟みながら聞く樹とさり気なくカウンター越しに私たちの話を盗み聞く岸さん。

『もーやだよ、こんな人生。なんでこんな早く結婚しちゃったんだろ、』

「まぁ子供は授かり物って言うべ？Aの場合はその時がタイミングだったってだけじゃん。」

『そうだけど...いくらなんでも26でデキ婚は早くない...？』

「早くはないかもなぁ、わからないけど。...まあ仕方ないべ。出来ちゃったものはしょうが無いし。子供が嫌いな訳では無いんだろ？」

『まあ、そうだけど...』

．