林檎と指環 (ページ16)

今日:1 hit、昨日:4 hit、合計:29,032 hit

016 ページ16

．

彼と寝てから早くも２週間が経ってしまった。

その間、全く連絡を取っていない。

ただ追加しただけの【REN】というアカウントのトーク画面を開く。
そこはもちろん空白で、背景の中で異国のプリンセスが私を見て微笑んでいる。

この微笑みを何度見た事か。

気になるならこちらから連絡すればいい話なのに何故だか出来ずにいる。
２週間もたった今、この間はありがとう、なんて違う気がするし、だからといって、久しぶり、も違う気がする。

そんな事を考えていた時、ピコンという音が鳴った。
開いたままの彼のトーク画面は空白ではなく、数秒前に送られてきたメッセージが映し出されていた。

「Aさん、お久しぶりです。なかなか連絡できず、すみません。もし宜しければ明後日の夜、この間のバーでどうですか？」

読んで気が付いた。

直ぐに既読を付けてしまったということに。

返信どうしよう、なんて送ればいいのかな、なんて中学生みたいなことを考え、慌てていた時、ふとカレンダーが目に入った。

明後日。

そこは空白で、この間と同様【友達】とご飯に行くと北斗に伝えよう、そう思った。

．