絞殺 (ページ26)

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『クラスに転校生がやってきたんです。』

「へぇ、そうなんだ。」

『その転校生、私の隣の席なんですけど毎日必ず話しかけてきて、いつもお昼は裏庭で食べてるんですけど2人で食べることになっちゃって。1回2人で食べた日から毎日2人で。』

「うん。」

『私その人を見てたらこんな可愛い彼の一面を誰かに見せたくない、って思っちゃって。変ですよね、ただの友達なのに。』

「...うん。」

『おかしいですよね。』

私の中の違和感。
その正体を知りたくて初めて誰かに打ち明けた。

すると、私の思いもしなかった言葉が優斗さんからとび出た。

「それって。」

「恋じゃん？」

【恋】
私はそれを知らなかった。
知らずに生きてきた。
親は不倫で友達もいない訳だからそんなのもあまり知らない。

『そんな訳...』

「えーー？だってその人の可愛い一面を独り占めしていたいって思うってことでしょ？」

「それって恋じゃないの？」

恋なんて知らないのに。

なのに何故か、顔が赤くなって、体が火照って。
あの井上くんの笑顔を思うだけで、心が。

とくん、とくん。

と、音がなって。
胸を締め付ける。

私はどうやら、恋を知ってしまったようだ。

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