絞殺 (ページ3)

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SHRが始まる前の教室は煩い。

好きなバンドの話で盛り上がってる男子。
好きなアイドルの話で盛り上がってる女子。

毎日毎日同じような会話を何度もして、果たして彼らは楽しいのだろうか。
その騒音がとても耳障り、大嫌い。
その騒音を掻き消す様にイヤホンをつけ、恋愛を歌っているバンドの曲を大音量で流した。

私の苦手な恋や愛を歌っているはずなのに曲はなんだかいいと思える。
なんて頭の隅で考えながら目を閉じる。
次に目を開けたのは丁度教卓に先生が来た時だった。

「おはようございます。まず、今日は転校生を紹介したいと思います。」

転校生なんて興味ない。
イヤホンをクルクルと輪っかにして鞄の中に片付けようとしていた時、教卓の方をふと見ててしまった。

私の最初の彼の印象はあまりいい物ではなく、仲良くなれないと直感的に感じた。

「初めまして、井上瑞稀です。よろしくお願いします。」

少しぶっきらぼうな彼が挨拶をすれば周りは皆、大きな拍手で迎えた。

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