絞殺 (ページ5)

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「ねえ。」

彼はなにかに託けて私に絡んでくる。
私はそんな彼が大嫌いだった。

別に友達なんて数えられるぐらいしかいないのだから他人にどう思われても気にはしないが、女の嫉妬って怖いものなのだと彼には教えたくなる。

実際、彼が来る前までの私は透明人間のような存在だった私だが、最近ではよく物がどこかに消える。

今朝、下駄箱に入れていたはずの上靴がゴミ箱の中に移動していた。
なんて元気な上靴なんだろう。
その元気な上靴の脚となった人間は誰なのかなんて、私は知らない、知ろうともしない。

何故ならば周りの人間に興味が無いから。

一人でいることは今に始まったことではなく、特に深く傷ついたりなどは無かったけれど、もしこれが酷くなってしまったならばなにか対策をしなければと頭の隅で考えていた。

「ねえ、聞いてる？」

『...なに？』

「教科書。」

『あ。』

そう言えば席が隣の私は教科書を見せるように先生に言われていたのだった。
お互い、少しずつ机を動かし、ピッタリとくっ付けた。

机の中から教科書を取り出し、ペラペラと捲り、二人の間に置いた。

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