絞殺 (ページ23)

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「カフェラテです。いつもありがとうございます。」

私には誰にも言っていない行きつけのカフェがあった。
私が行った事のあるどのカフェよりも断然美味しい飲み物を淹れてくれて、新規の客は少ないかもしれないが常連客はたくさんいる、そんなカフェだった。
営業時間も割と長いそのカフェは私の癒しの一つだった。

暇な時はそのカフェに入り浸り、本を読んだり課題をする。
そうしているうちに、カフェの店員さんに顔を覚えられてしまったようだった。
まぁ、元々お客様の少ない静かなカフェだからそれも当たり前かもしれないが。

「お客様、よろしければこちら。サービスになります。」

差し出されたのはいつもは頼まないチョコケーキ。

「ちょっと余っちゃってて。たまにそういう時があるんですけど、そういう時はお客様に差し上げてるんです。なので、良かったら。」

【タカハシ】と書いたネームプレートを胸につけている男性店員が優しそうに微笑みながら私にそう話した。
そういえばこの人、この人もいつもいる。

お互い顔見知り程度で今日は初めてきちんと話した。
こんなに顔を近くで見たのも初めてだけど、意外とイケメンで驚いた。

『あ、ありがとうございます。』

「いえいえ。よく来てくださってますよね？」

『あ、はい。ここ、凄く好きなので。』

「そう言って頂けて幸いです。宜しければ僕ともまたお話ししてくださいね。」

『あ、はい。』

僕とも話してなんて変な人だとは思ったが不思議と悪い人とは思わなかった。

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