絞殺 (ページ21)

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井上くんは、転校初日から毎日必ず話しかけてきた。

彼が転校してきて約1ヶ月。
作間くんと出会って約3週間。

彼が転校してきてからというもの、興味のなかった後輩と関わるようにもなり、私の人生の【退屈】は段々と薄れてきた。
1度それが薄れ始めたら私の中のそれが薄れる出来事は何度も起きた。

「お昼一緒に食べない？」

ある日いきなり、何を思ってこの結論に至ったのかわからないが井上くんにお昼を誘われた。
私はいつも一人ぼっちな為、断る理由など特になかったので即承諾した。

私は彼に私の秘密の花園の一つでもある裏庭のベンチに案内した。
そこ校舎の影に隠れていて、あまり目立たなければ静かでとても安心できる場所なのだ。

ベンチに座って菓子パンをぱくりと食べると隣の井上くんはメロンパンに夢中だった。

彼にこんな可愛い一面があるだなんてどれ程の人が知っているのだろうか。

その時ふと、

『こんなに可愛い彼を、誰にも見つけさせたくない。』

そんなことを考えてしまっていた。

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