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【西園寺A先輩】
彼女はよく裏庭で1人でご飯を食べている。
ある時ふと彼女を見つけてしまい、毎日欠かさずに裏庭を見るようになってしまった。
そして今日も、いつも通り、一人のようだ。
「また西園寺先輩？」
今日も俺はいつものように窓際の席で仲のいい友達である猪狩蒼弥とお昼を食べていた。
なのにも拘らず、ガリさんの話なんて聞こえないくらい彼女に見蕩れてしまっていたらしい。
「...あ、ごめん、ガリさん。話してる途中だったよね。なに？」
「...そんなに好きなの？」
俺は西園寺先輩に一目惚れをした。
まだ産まれて16年程だが、あれ程の美人で、独特の雰囲気の女性は見たことがない。
話したことは無かったけれど、何故か心が掴まれてしまった。
これが一目惚れというものだと、俺は知ってしまった。
「そんなに好きなら近づけばいいのに。」
「そうだけどさー...接点ないし？」
「そんな作ちゃんにとっておきの情報を、私、猪狩がお届けしたいと思いまーーす。」
「...なに？」
「西園寺先輩って放課後、旧校舎の音楽室にいるみたいだよ。」
ガリさんは観察力が良く、情報屋だ。
彼の情報の9割は当たっているしきっとこの情報も当たりだろう。
だから俺は、放課後に旧校舎の音楽室に向かった。
ガリさんの言う通り、本当に彼女はそこにいて、ピアノを弾いていた。
見てるだけでいいと思っていたはずなのにその時思わず声をかけてしまい、挙句の果てにはまた来てもいいですか？なんて言ってしまった。
言ってしまった後、拒否されるかとも思ったのだが来てもいいと言われてしまった為、俺は毎日通うことを心に決めた。
俺は、決してハマってはいけない底なし沼に落ちた。
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作者名：悠 稀 。 | 作成日時：2018年9月30日 16時
