月に堕ちる (ページ10)

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　今日くらい休めばよかった。

　昨日は酷かった。涼さんの一言で地に落ちた私は、たまたま電車が遅れて門限の22:00に間に合わなかったのでいつもより酷い「しつけ」をされた。全身が痛む。ゆっくりと歩いていると下駄箱で檜山くんに会った。

「おはよう。昨日はありがとうなんか顔腫れてる？大丈夫？」

「そう？そんな事ないよ」

　昨日久しぶりに頬を思いっきりぶたれた。一生懸命冷やしてファンデーションを塗ったけれど少し不自然だった様だ。
　あまり顔を見られたくなくて背中を向けて歩こうとしたが、昨日殴られた痛みが身体を走って上手く歩けず思いっきり尻もちを着いてしまった。
　その拍子にスカートが乱れ、太ももの痣が顕になった。
　
　瞬時に消えたくなった。

「その傷…」

　バッグを抱え、身体の痛みなんか無視して学校を飛び出した。
　見られたくなかった。この傷を見ていいのは涼さんだけで、普通の同級生である檜山くんに見られてはいけないものだった。

　今まで傷だらけの体で生きてきたのに何だか急に恥ずかしくなって、気づけばお兄さんの家の前にいた。
　そして狼狽えた。涼さんとの約束なしに家に来るのはルール違反だったからだ。

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