月に堕ちる (ページ7)

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「あっ、そういえば急なんだけど、よかったら今度の日曜日ちょっと付き合ってくれない？」

　話の途中の突然の誘いに思わず時が止まる。檜山くんと私が休日に？そんなことがあっていいのか。というか私と檜山くんの関係性だってそんなに出来ていない。今ほぼ初めてちゃんと話していてお互いを知っている最中だったのに。

「誕生日プレゼントを買いたいんだけど何がいいか分からなくて。Aちゃん、一緒に選んでくれない？」

「……でも、檜山くん沢山お友達いるじゃん」

「んー、まあ、うん、そうなんだけど。休日まで一緒にいるのは違うかなって」

　敢えてその理由は聞かない。人気の檜山くんにもなにか事情があるのだと思う。どれだけ爽やかな笑顔を浮かべていても人には思うことがあるのだろう。

「わかった、いいよ。隣町まで行くなら」

　檜山くんと会ってることをクラスの人に知られたくなかった。それは私のためであり彼のためであった。檜山くんがどれだけいい人だったとしても、周りから避けられている私と一緒にいるとイメージが落ちてしまうだろう。変な噂は立てられたくない。

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