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その夜私は駅にいた。空は少し曇っていて、月が半分しか見えなかった。誰もいない駅のホームのベンチに腰をかける。檜山くんに電話をかけた。初めての私からのアクション。
「もしもし、起きてる？」
「うん。どうかした？」
「声聞きたくて」
優しい声。声はちょっと涼さんに似ているかも。いやそんなことは無いか。でも、今となっては檜山くんの声も愛おしく感じた。
「今何してる？」
「明日の準備してるよ。Aちゃんは？」
「今駅のホームにいる」
「どこか行くの？」
「……うん」
「こんな時間に危ないよ」
涙が出そうになった。どこまでも檜山くんは優しい。その優しさにふれるたびに私は普通に近づける気がしていた。それも今日で終わり。
自分が犯した罪は自分で片付けないと。
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作者名：悠 稀 。 | 作成日時：2024年1月30日 23時
