月に堕ちる (ページ3)

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「今おうち着きました」

「ほんと？良かった、無事に帰れたみたいで」

　いつもは返信が遅いのにこういう時だけは早い。ああ、そういうところ、好きだなあ。家に帰る時、学校から彼の家に向かう時、など、必ず連絡をくれる。なんか変なところマメっていうか。

　だから私もあの人の沼に沈みこんでしまったのだろう。好きではなくて依存。抜けられない沼だ。

　私とお兄さんの出会いはインターネットだった。ネット依存。承認欲求の塊。自己肯定感の低さ。どれも私にぴったり当てはまる。情けないことに、それら全て、病的なほど。

　とあるSNSを始め、自分の写真を載せた時、面白いほど反響があった。
　載せたのはその場のノリだった。怖かったけれど、本当、勢いで。その時、初めて気がついた。たとえインターネットの世界だったとしても、私には求められるほどの価値があると。

　知り合った男はゴミクズばっかりだ。きっとそれは偏見ではなく、正しい。可愛い女の子にダイレクトメッセージを送りまくって、会うことを迫る。

　馬鹿だ。ネットで女漁りなんて。だけれど私はそれを理解した上で釣られる。全ては自分の承認欲求の為。どこから溢れかえるのかわからなくて、どうしても埋めたい虚無感が切なくて、誤魔化すのに必死だった。

　お風呂上がりから寝るまでの時間を私はSNSに費やす。それ以外は見ない。それが自分ルールだった。

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