月に堕ちる (ページ17)

今日:25 hit、昨日:100 hit、合計:8,965 hit

17 ページ17

、

「Aちゃん、話したいことがあるからお昼休みに屋上に来て欲しい」

　昇降口で檜山くんが言った。私は毎日屋上いるのでわざわざ声をかけるなんて余程大事な用事なのだろうか。
　

　昨日身体の傷を見られた。そのことについて聞かれるのか。朝から憂鬱だった。檜山くんの前で普通の女の子になれなかった悲しさ。苦しさ。女になることしか出来なかったことに対しての嫌悪感。

「ごめんね、呼び出すみたいなことして」

「ううん、話って何？」

「……橋本涼って知ってる？」

　橋本涼……？涼？涼さん？檜山くんとはどういう関係？なんで私にそのことを聞いてくるの？ねえどうして。

「昨日、俺が傷見ちゃって、その夕方、マンションから出ていくのが見えて」

「……檜山くんと彼は、どういう関係…？」

　一生分の勇気を出した気がする。マンションから出るのを見られていた。ということはそれなりの関係性であることはバレているかもしれない。考えがまとまらない。どうすればいい。檜山くんとなら普通の女子高生として仲良くなれると思っていたのに。

「兄弟なんだ、母親が違うけど」

、