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95話 ページ45

「…食べてくれたんだ」
無表情の光貴がぽつりと言った。

「めっちゃ美味いよ、ありがとう」
俺がそう言うと
少しだけ口角が上がった、気がした。

「うん、夜勤お疲れ様」

「ありがとう」

たったその一言だけ交わして
光貴は水を飲んでまた2階へ上がっていった。

「…話しちゃった…」
ほわぁっと自然とため息が出る。

「は?」

「光貴と話したよ…普通に話しちゃったよ…」

「お、おぉ…?」

変な話だけどどこか感動しちゃってて
これからもっと普通に話せるようになれる気がした。
「光貴とちゃんと話すことあまりなかったから」
「そうだなぁ…。
俺もなんかどっか嫌われてる気がするんだよな」

やっぱり兄ちゃんは俺と同じこと思ってた。

「「だって雨生にいつも取られるから」」
声がハモった。
だよねぇ、と相槌。

「なにあの2人出来てんの?」
「やめてくれよ、冗談でも」

その時、リビングの戸が開く。

「お兄ちゃん…」

目を擦りながら蒼真が入ってきたけど
俺の食べてるケーキを見て
嘔吐いた。

「あーあー大丈夫か、こっちこっち」
兄ちゃんがキッチンのシンクまで連れて行って
背中を摩る。
「辛いなぁ」
しばらくして落ち着いた。

「ハルちゃ、」
ソファーに座っている俺の方にてくてく
歩いてくる。
俺が両手を広げたら
その腕の中に入ってきた。

「蒼ちゃん」
薄着の蒼真に自分の着てたパーカーを脱いで
肩にかけてあげた。
嬉しそうに笑う。

「携帯取りに1階に来たの」

「さっきメール受信してたけど」

「あ、ほんと?ありがとう」

スマホをいじり出した手から
スマホが滑り落ちた。
蒼真の顔から笑顔が消える。

電子機具が落ちる重々しい音。

「蒼ちゃん?」

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朱々璃(プロフ) - こんぺいとうさん» 閲覧ありがとうございます!コメント頂けるとやる気起きます笑 少しずつですが頑張ります(^^) これから、兄弟一人一人の恋事情も挟みますのでお楽しみください!これからもよろしくお願いします (2017年11月13日 12時) (レス) id: e291ea7c47 (このIDを非表示/違反報告)
こんぺいとう(プロフ) - すごく面白いです!更新頑張ってください!楽しみにしています! (2017年11月11日 23時) (レス) id: 44526260a6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朱々璃 | 作成日時:2017年11月2日 1時

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