87話 ページ37
「友矢、久しぶり…」
一生懸命笑顔を作って祭壇へ手を伸ばしている。
白い布のかかった棚に
溢れんばかりの瑞々しい果物、
お気に入りだったニューバランスのスニーカー。
あと、ゾウのぬいぐるみ。
その後には学ランと
よく中に着ていた
水色のパーカーがハンガーで吊るされていた。
蒼真は時折、鼻を啜りながら
ひとつひとつの思い出を語りかけていた。
「手紙、ありがとう。
あれ無かったら俺、今来なかったかも」
骨壷をそっと撫でる。
それを合図とするかのように
俺とお母さんの方に向き直った。
「お母さん、俺、
俺のお腹、に、赤ちゃんがいます」
「え、」
「俺、この子産むから、俺の命替えてでも
ちゃんと、産むから」
「蒼ちゃん、それ本当なの？」
蒼真が頷くと、お母さんは勢いよく抱きついた。
「ありがとう！」
それから2人は抱き合ったまま
長い間泣いていた。
懐かしいアルバムを囲って
ページをめくりながら思い出話に花を咲かす。
「友矢、幼稚園行ってなかったでしょ？
白血病で入院してて。
だから小学校入学の時不安だったみたい。
友達できないかもって。
でも、蒼ちゃんが声掛けてくれたって。
相当嬉しかったんだろうね」
写真の中の友矢はぎこちない笑顔を浮かべて
ランドセルを背負っている。
初めて聞いた話。
2人の出会いの話だった。
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朱々璃(プロフ) - こんぺいとうさん» 閲覧ありがとうございます！コメント頂けるとやる気起きます笑 少しずつですが頑張ります(^^) これから、兄弟一人一人の恋事情も挟みますのでお楽しみください！これからもよろしくお願いします (2017年11月13日 12時) (
レス) id: e291ea7c47 (このIDを非表示/違反報告)
こんぺいとう(プロフ) - すごく面白いです！更新頑張ってください！楽しみにしています！ (2017年11月11日 23時) (レス) id: 44526260a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：朱々璃 | 作成日時：2017年11月2日 1時
