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8話 ページ8

それから、蒼真は眠り続けた。

そして、寝てから2日後静かに目を覚ました。
虚ろな目に光が入る。

「蒼真」

「ハル、ちゃん」
寝起きだからか、顔色が悪い。
明らかに体調が悪そうだった。

「ん?どした?」

「なんか、気持ち悪い…」

そう言った瞬間、口元を押さえた。

吐き気。

なにも食べてないのに。

精神的なものなのか、
それとも_____

俺の職業癖だった。
男性助産院勤めだから、
一瞬そんなことがよぎった。

まさか、

「蒼ちゃん、立てれる?」

ふるふると横に首を振る蒼真。
俺は、慣れっこだからすぐにゴミ箱を手に取った。

「ここに、吐ける?」

蒼真はゴミ箱に向かってえづき始めた。
「げほっげほげほっ、げほっ、はあ…はあ…」

でも、何もお腹にはないから
何も吐くものはなかった。
ただただ苦しいだけ。

落ち着いてきたのを見計らって水を取りに一階へ行き、すぐに戻る。
背中をさすると、弱音を吐き始めた。
ボロボロとこぼれ落ちる涙。
「…苦し…ぃ」
「苦しいな、大丈夫だからな、
ゆっくり、ゆっくり深呼吸して」

数分するとかなり落ち着いた。
「も、大丈夫」
「そっか。今はストレスでご飯食べにくいと思うけど頑張ろうね」

「分かってる、だけど友矢がさ、いないって、思うと、ふぅっ…ぅふっぅ…げほげほ」

「ゆっくり息しよう、苦しいでしょ」
過呼吸になりかける蒼真を優しく抱きしめる。
前よりかなり痩せてる。
本当に辛いんだ。

「ハルちゃん、俺、友矢になんにもしてあげられてないよ…」

「そんなことないよ、大丈夫、大丈夫」

蒼真、きっと友矢は嬉しかったと思うよ。
死ぬ間際、ずっと友矢の手、
握ってあげてたんでしょ?

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朱々璃(プロフ) - こはるさん» 閲覧ありがとうございます!体が弱いので少しずつの更新ですがよろしくお願いします! (2017年10月30日 21時) (レス) id: e291ea7c47 (このIDを非表示/違反報告)
こはる - とても面白いです!最初は少し泣きました (笑) これからのお話も楽しみです!更新頑張ってください! (2017年10月28日 22時) (レス) id: df734a0178 (このIDを非表示/違反報告)
朱々璃(プロフ) - 凛月☆男の娘は国宝!!さん» 閲覧ありがとうございます!勿体無いお言葉嬉しいです。これから兄弟一人一人の話も進んでくるので、永らくよろしくお願いします! (2017年10月24日 20時) (レス) id: e291ea7c47 (このIDを非表示/違反報告)
凛月☆男の娘は国宝!! - あ゙あ゙ああぁ〜〜!!(´;ω;`) やめろー!これ以上いい話にもっていくな〜!! 涙腺崩壊して涙が止まらないよ〜〜! (訳: 朱々璃さんの作品は素晴らしいです!) (2017年10月21日 19時) (レス) id: 89f15ab5c3 (このIDを非表示/違反報告)
火野スウ(プロフ) - 雪さん» ありがとうございます!本当に嬉しいお言葉です!この話に思い入れすぎて、普段の生活でも隣に蒼真が見えちゃうような感じです笑 私自身、晴生同様、体が弱いので更新遅めですがよろしくお願いします!もしよければこれからも感想とかお願いします! (2016年10月10日 12時) (レス) id: 9435c25c3c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朱々璃 | 作成日時:2016年6月24日 18時

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