48話 ページ48
「ハルちゃん、もう1回エコーして」
恵くんを尚くんに返したあと、
控え室のベッドでゴロゴロしていた蒼真が
突然口を開いた。
「いいよ」
俺は蒼真の手を引き、
診察室へ入って
蒼真をベッドに寝かせて準備を始めた。
ヒヤッとするジェルに若干声をあげた。
顔を見ると酷く緊張しているのが分かる。
「…蒼真、これが赤ちゃんだぞ」
昨日と変わらない、ちかちかと動く
小さな小さな心臓。
その姿は空豆みたいだけど、
ものすごく可愛い。
「この子が、俺と友矢の…」
蒼真が口に手を当てる。
「…ごめんっ、１回でも、要らないなんて、
思ってごめん…っ…ごめん、ごめんねっ」
そのまま、大声で泣いた。
今までで初めて聞いたくらいの
号泣ぶりだった。
「俺が、俺がっ、ママだから…
お前の…っ、ママだから…！」
だから、ごめん。
喜んであげれなくてごめん。
でも今なら言える。
「俺のお腹に来てくれてありがとうっ！」
モニターから目を離さない。
愛おしい、というキラキラした目だった。
すると、赤ちゃんの心拍が少しだけ早くなった。
「あ、速くなったね、
蒼真の声聞こえたんじゃない？
ママ、って言ってんじゃない？」
そう言うともっともっと泣いた。
「早く、会いたいな」
元気に育って欲しい。
願うは、ただそれだけ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 43人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
朱々璃(プロフ) - こはるさん» 閲覧ありがとうございます！体が弱いので少しずつの更新ですがよろしくお願いします！ (2017年10月30日 21時) (
レス) id: e291ea7c47 (このIDを非表示/違反報告)
こはる - とても面白いです！最初は少し泣きました (笑) これからのお話も楽しみです！更新頑張ってください！ (2017年10月28日 22時) (レス) id: df734a0178 (このIDを非表示/違反報告)
朱々璃(プロフ) - 凛月☆男の娘は国宝!!さん» 閲覧ありがとうございます！勿体無いお言葉嬉しいです。これから兄弟一人一人の話も進んでくるので、永らくよろしくお願いします！ (2017年10月24日 20時) (レス) id: e291ea7c47 (このIDを非表示/違反報告)
凛月☆男の娘は国宝!! - あﾞあﾞああぁ〜〜!!(´;ω;｀) やめろー!これ以上いい話にもっていくな〜!! 涙腺崩壊して涙が止まらないよ〜〜! (訳： 朱々璃さんの作品は素晴らしいです!) (2017年10月21日 19時) (レス) id: 89f15ab5c3 (このIDを非表示/違反報告)
火野スウ(プロフ) - 雪さん» ありがとうございます！本当に嬉しいお言葉です！この話に思い入れすぎて、普段の生活でも隣に蒼真が見えちゃうような感じです笑 私自身、晴生同様、体が弱いので更新遅めですがよろしくお願いします！もしよければこれからも感想とかお願いします！ (2016年10月10日 12時) (レス) id: 9435c25c3c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：朱々璃 | 作成日時：2016年6月24日 18時
