君の蒼い花。=オリジナル=

20話 ページ20

蒼真に肩を貸しつつ、車に乗せた。
普段のこの時間の出勤は、歩きか、自転車だけど
蒼真に20分歩かせるのも辛いから
車で行くことにした。

赤のMPV。
赤は父さんの大好きな色。3年前に買ったと思う。
この車は、大好きな父さんの形見でもある。
3年前にこの車にぎゅうぎゅうに7人乗り込み、
旅行へ行った。

考えれば、あれが最後の旅行だった。
その1年後、父さんと母さんは飛行機事故に巻き込まれてこの世を去った。

懐かしいなぁ…だいぶ昔のような気がする。
あの時は、本当に幸せだった。
慶太とも上手くいってて、家族みんなで今の大きい家に住んでて。
突然、家の中に出来た大きな2人分の空間は、
今でもポッカリ口を開けたまんまだ。

懐かしいなぁ……

運転しながら、ちらりと蒼真の顔を見た。
幼い顔。長いまつげ。ぱっちり二重。少し癖っ毛のくるっとした髪。
母さん似だなぁ…。母さんのまんまの顔だ。
母さんの幼児体型の血は俺と蒼真に受け継がれている。
兄ちゃんは男性の平均身長。
高身長の父さんの血は雨生に。
母さんのぱっちり二重は雨生と蒼真に。
父さんの奥二重は、ちゃっかり兄ちゃんと俺に。

すごくDNAがシャッフルされている気がする。

蒼真を見たら母さん思い出して
雨生を見たら少し父さん思い出して。

きっとまだ俺らの中では生きてるんだと思う。

蒼真、分かった？
人は死んだら終わりだなんて
1mmもないの。

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