隣の彼女は今日も寝ている。【宮侑】【HQ】 (ページ3)

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朝から担任の身も蓋もない話を聞き流しながら、今日も隣で眠る女に目を向ける。ピクリとも動かない彼女は、まるで死んでいるんじゃないかというぐらい静かだった。こいつ家で何してんのやろ。何したらこんな寝れんのやろ。

「おい、1限体育やぞ。もうみんな移動してるで。」
『･･････』
「･･･ほんま自分ふざけとんちゃうぞ･･･」

仕方ないので、机の足を強めにひと蹴りしてみる。まだ起きない。今度は机を叩いてみる。すると彼女はもぞ、と少しだけ身体を動かした。さらりと落ちる髪の隙間から、気怠げな瞳と目線が合って。その瞳に、俺は見覚えがあった。

『･･･何。』

不機嫌そうな声。眉間に皺を寄せるその表情を見て、俺は負けじと顔を寄せる。するとそいつは素早く上体を起こすと、椅子ごと少し後退りした。顔を戻して見下ろすように彼女を見れば、反対にそいつは下から睨みつけてくる。その姿はまるで野良猫のようで。

「そんな睨みつけんなや。侑くん傷ついてまうで。」
『勝手にすれば。』
「冷たいなあ。隣同士の仲やろ？」

一歩踏み出すと、『近づかないでくれる？』と棘のある言葉。その反応がなんだか新鮮で、思わず笑みが溢れる。心なしか彼女の表情がさらに悪くなったように見えた。その様子をにやにやと眺めていれば、

『･･････気持ち悪い。』

とひと言。
そう言い残すと彼女は去っていった。誰もいない教室でただ1人。驚きと困惑でしばらく放心状態になってしまって。まるで時間が止まったように動けなかったが、それも始業のチャイムが鳴ることでふと意識を戻した。

「･･･なんっっっやねんあいつ！！！」
　
　
　