part1 ページ2
「まじでなんやねんこいつ･･･」
「ツム、部活行かへんの？」
「そんなことはわかってんねん。」
結局放課後までこの女は寝ていた。なんならピクリとも動かない。早く部活に行きたいのに、このまま放置しとったらこの女は学校が閉まっても寝続けそうで。
「ん？隣の人はどうしたん？」
「ずっと寝とる。」
「え、もう放課後やで？」
「せや。朝からずっと寝てんねん。」
こうして隣で話していても全然起きない。家で何してたらこんなに寝れるんや。机を叩いてみても起きなかった。
「なあもう行こうな。さすがに帰る頃には起きとるやろ。」
「･･･せやな。」
「･･･あかん。スマホ教室にあるわ。」
「明日朝イチで取りに行くしかないやん。どんまい。」
「おつかれ。」
「あーもう最悪や。」
校舎を見ても電気が付いてるところは見当たらなければ、玄関も当然鍵はかかっていて。仕方なく帰ろうすると、サムが「ちょっと見てみ。」と手招きしていた。
「･･･正門に誰かおるで。」
暗くて見えるのはシルエットのみ。でもあの感じは多分女やろうな。おおかた出待ちかなんかやろ。この時間までおるのはバレー部ぐらいやし。俺とツムは肩を組んで声を潜めた。ついでに角名も巻き添えにしておく。おい、そんな顔顰めんなや。
「･･･女やな。」
「そうだね。侑行ってきなよ。」
「なんっでやねん！嫌に決まっとるやろ！」
『･･･ねぇ。』
聞き慣れない声が聞こえて、俺らはゆっくり後ろを振り返った。そこには眠たそうな顔の女がおって。そいつは不機嫌そうに眉間に皺を寄せながら、「これ、君のでしょ」と何かを投げつけてくる。キャッチすれば、それは教室に忘れたはずの俺のスマホだった。
『じゃあ帰るから。』
「ちょ、あんた出待ちやなかったの？」
『･･････』
「なんか言えや！」
背中を向けて、俺の静止の言葉も聞かずに暗闇に姿を消していく。女に無視されるとか生まれてこの方初めてや。衝撃と驚きと怒りで身体を震えわせれば、「よく見なよ。あの子ヘッドフォンしてた。聞こえてなかったんじゃない？」と諭すように角名から言われて、余計にイライラした。その行き場のない感情を地面にあった小石にぶつける。カン、と高い音が遠くで聞こえてきた。
「なんかむしゃくしゃするわ･･･」
「そんなイライラする必要あるか？」
「･･･ない」
「ないんだ笑」
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作者名：そーめん | 作成日時：2024年3月1日 23時
