第63話 ページ13
「……そもそもAさんは我国についてどのくらい知ってますか？」
少し踏み込んだ質問をしたエーミールは参考程度に、と真っ当に聞こえる理由を続けた。
心做しか雨の音が大きくなった気がして、ゾム達も少し顔を強ばらせていた。当たり障りのないように言葉を選びながら口を開く。
「我国ですか？知識としては学校で習った事だけですね。我国をメインに学ぶ事は無かったので、とても強かったとか、戦争する回数が多かったとか、そのくらいですよ」
本当に後悔したよね。その時代の国について授業受けてると必ず一回は戦争相手として我国が出てくるんだもん。
グルさんの発作をもっと抑える事が出来ていれば…！
「まぁそんなもんやろな。A、俺我国好きやからなんでも聞いてな！…いや、我国について叩き込んだるわ！」
「ゾムさん、それは……」
「え、勉強は？」
ゾムはエーミールの静止も聞かず、パラパラと資料集を捲り我国について詳しく載っているページを開いた。
それに対し香奈は困惑の表情を見せた後、渋々同じページを開いたと思ったら教材や筆記用具を片付け始めた。
「香奈？帰るの？」
「うん、用事あるの思い出しちゃった！じゃあね！」
「え、ちょ……！」
忙しなく図書室を出て行こうとする香奈を引き止めようと席を立ち手を伸ばすが、届く事無く空を切った。
「随分と急でしたね、急ぎだったんでしょうか？」
「まぁ用事ならしゃーないやん！」
眉を下げながら扉を見つめるエーミールとは逆に、ゾムは都合が良いと言わんばかりの笑顔で私に席に座るよう促した。
「まず建国からやな！我国は、」
「エミさーーん！おるかぁ！？」
面子に気まずさを感じ香奈を恨めしく思っていると、ゾムの解説を遮る様に図書室に大声が響き渡った。雨の音もかき消す程の声の大きさにゾムはびくりと肩を跳ね上げ、声の主を睨みつけた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1455人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あまね(プロフ) - 夢主ぃぃぃぃ (11月24日 21時) (
レス) @page22 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
み(プロフ) - 軍パロのこういうお話好きなのでこの作品に出会えて良かったです！これからも無理せず頑張ってください！！ (2023年1月30日 0時) (レス) @page22 id: 4521a77615 (このIDを非表示/違反報告)
愛月咲良(プロフ) - このお話前にも見た事はありますが題名を忘れ見れなくなったので見つけれて良かったです！！お気に入り失礼致します (2021年5月18日 9時) (レス) id: 4a6d894003 (このIDを非表示/違反報告)
雪見大福(プロフ) - これからも無理せず頑張ってください (2021年4月4日 13時) (レス) id: 4031fb98ab (このIDを非表示/違反報告)
千菜(プロフ) - 続編おめでとうございます！この作品大好きです！これからも応援しています！ (2021年4月4日 6時) (レス) id: 36e14b459a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちーず | 作成日時：2021年4月4日 0時
