ヴァンスト！！

その4 ページ6

「そう言えば、Aちゃん。Aちゃんって社長の娘さんなんだよね？何で乱歩さんのこと、『乱歩兄さん』って呼んでるの？」


　列車での移動中、敦君が聞いてきた。 ついでに乱歩兄さんは「着いたら起こしてね」といって、寝てる。


「敦君は知らないんだっけ。実は私、お父さんの実の子じゃないんだよね〜。」


「えっ！？」


あれ？そんなに驚くことかなぁ〜。


「6年前、お父さんに怪我をして倒れていたところを助けてもらったんだけど、その日より前の記憶がなくて、名前すらわかんなかったの。 唯一の手がかりは、私が握り締めていたこの棒とストラップ。」


　そう言って私は黒い棒と、水色で、長方形型のストラップを取り出した。


「この棒･･･なんだろう？」


「こっちの黒い棒…私はミョルニルって呼んでるんだけど、これは私の異能力の産物っぽいのよね。」


「へぇ〜。Aちゃんの異能力って、どんなものなの？」


「う〜ん･･･。説明しにくいから、また今度見せてあげる。それで、話がずれたけど、私が乱歩兄さんって呼んでる理由はね。記憶を無くした私に乱歩兄さんが名前を付けてくれてさ。それに、ずっと一緒にいるうちに、何かお兄ちゃんみたいだなぁ〜…って思ってたら、いつの間にか乱歩兄さんって呼んでた。」


「そうだったんだ･･･。それにしても、何でミョルニル？」


「ん？なんとなく。頭の中にパッと浮かんで来たから。あとねぇ〜。実はこれ、小さくなるんだよ〜♪」


そんな話をしている内に目的地の近くに着いたので、乱歩兄さんを起こして、現場にいそいだ。

その5→←お礼的な…？

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