41話 ページ42
俺には
確かな信念も崇高な理念も
何もない
ただ、
ここしか居場所がなかったから。
ここしか選択肢がなかったから、ヒーローになるために勉強をしているだけだ。
みんなが持っている
誰かを救いたい
誰かの為に自分を投げ出してもいい
素晴らしく、尊く、美しい
そんな感情、俺には何処にも有りはしない。
みんな輝いていた
当たり前だ
誰かを思う姿はいつだって眩しい。
俺には眩しすぎる程に。
.
ここは俺の居場所じゃない
いつからだろう、
当たり前のようにそう思う自分が居た。
どうして
みんなあんなにも優しいのに。
あの優しさが、同情でも哀れみでもないことくらい知っている。
あれは、"虐待を受けた可哀想な子供"に向けられた視線じゃない。共に学んでいく仲間へ、"終尾A"という1人の人間へ向けられた信頼の目線だ。
分かってる、分かっているはずなのに
どうしてこんなにも
苦しくなるんだろう
どうして...
「終尾、どうした」
ハッとして顔を上げると、相澤先生と目が合う。
そういえばまだ職員室を出てすらいなかった。
余程死にそうな顔でもしていたのだろうか、眉を顰めた先生は何処か心配そうな表情だ。
ふと、大人ときちんと目があったのなんていつぶりだろうかと思い返す。
昔、小学生の頃の担任は俺が虐待を受けているという事実を知っていながら、面倒ごとはごめんと言いたげな顔で俺と目を合わせようとはしなかった。
ふっと逸らされた顔に、「あぁ、大人とはこういうものなんだな」と何処か諦めにも似た感情が俺を満たしたのを覚えている。
けれど、この学校の先生たちは違う。
ヒーローとして教師として、俺たちを教え導くために努力を惜しまない。
授業中に落とされる厳しい言葉も、突き放すような言動も、全て俺たちを守るためのものだ。
生徒がこの学び舎を去った後に、間違えないよう、傷つかないよう、持てる全てを使って俺たちを指導する先生たちは頼もしくて、
その手で守られているのかと思うと、ひどく安心するんだ。
もしかしたら、先生ならこの不安のを取り除く術を知っているんじゃないか。
幸せなはずなのに感じるこの苦しさを、不安を
もう1人で抱えるには限界だった。
『相澤先生』
どうか
俺を
たすけて
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ウタ - 次の展開がどうなるのか楽しみです (2018年7月18日 22時) (
レス) id: 5d727cd1f1 (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - めっちゃいい話だと思います！！更新楽しみにしてます！！ (2018年7月16日 8時) (レス) id: 83591e10d1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - ストーリー展開がとても好みだし、文章が、言葉ひとつひとつが綺麗で好きです。本当に素敵な作品ですね！ (2018年6月24日 21時) (レス) id: bc7a356a9c (このIDを非表示/違反報告)
こパンダ - とてもたのしみにしてます。頑張ってください！ (2018年6月22日 17時) (レス) id: 7360b2bbb8 (このIDを非表示/違反報告)
甘露蜂蜜(プロフ) - あああこれは夢主くん弔くんのこと思い出してほしいやつです…！こういうめっちゃシリアス系好きなので展開がすごく楽しみです。頑張ってください。 (2018年6月17日 23時) (レス) id: 817d133cd9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紺碧 | 作成日時：2017年11月13日 21時
