40話 ページ41
何を間違えたんだろう。
今までずっと欲しかったものを沢山貰っているはずなのに、どうしてこんなにも....
満ち足りない。
与えられる暖かな感情は内に留まることはなくポロポロとこぼれ落ちて行くばかり。
まるで胸に空っぽの穴が空いてしまったかのように
こんなにも幸せなのに
何が足りないというんだろう。
悶々と考えながら歩いていると、いつの間にか職員室の前まで来てしまっていた。
ガラリとその扉を開け部屋を見渡すと、中には先生が1人だけ。
『失礼します、相澤先生』
「終尾、帰ったのか」
『はい、これ許可証です。
ありがとうございました』
書類仕事をしていた手を止め、きちんとこちらを見て許可証を受け取ってくれる先生。
「何か問題はなかったか」
『はい
でも人が沢山いて、疲れました...』
「明日は普通に授業がある。早めに寝ろ」
ぶっきらぼうな言い方とは裏腹に、発せられるその言葉は優しかった。
あぁ、まただ...
先ほどの胸の痛みがまた俺を襲う。
感じた痛みは消えることはなく、じくじくと俺の胸を蝕み続ける。
「そういえば....」
不可解な痛みに立ち惚けていると、先生は思い出したかのように口を開いた。
「他の生徒には以前話したが、明日からヒーロー仮免許試験の対策が本格的に始まる。何か質問はあるか？」
『いえ、入学前に頂いた資料に書いてあったので大丈夫です』
「そうか、合理的だ。
...お前は少々特殊な枠で受験することになるが、やることは他の生徒と同じだ」
二週間後に迫るヒーロー仮免許の取得試験。
ヒーローとして世間で働くためには必ずこの免許を持っていなければならない。
仮免の発行条件はいくつかあるが、その中に【ヒーロー科の学生として半年以上学校に就学していなければならない】というものがある。
A組の皆はこれをクリアしているけれど
俺は違う。
編入生の俺は、半年も学校に通っていないため本来であれば受験資格はもらえない。
けれど、カリキュラム上授業に試験対策が組み込まれるため、受験をしないからといって対策授業を休むわけにはいかない。
よって俺は特例として"皆と一緒に試験を受けること"を許可された。ただし受験を許可されただけであって"仮免を発行すること"は許可されていない。
試験に合格しても免許は貰えない。
いわば記念受験だ。
「残念だね」と皆口々に俺を慰めたけれど、
免許が貰えないと聞いた時
正直俺はホッとしたのだ。
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ウタ - 次の展開がどうなるのか楽しみです (2018年7月18日 22時) (
レス) id: 5d727cd1f1 (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - めっちゃいい話だと思います！！更新楽しみにしてます！！ (2018年7月16日 8時) (レス) id: 83591e10d1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - ストーリー展開がとても好みだし、文章が、言葉ひとつひとつが綺麗で好きです。本当に素敵な作品ですね！ (2018年6月24日 21時) (レス) id: bc7a356a9c (このIDを非表示/違反報告)
こパンダ - とてもたのしみにしてます。頑張ってください！ (2018年6月22日 17時) (レス) id: 7360b2bbb8 (このIDを非表示/違反報告)
甘露蜂蜜(プロフ) - あああこれは夢主くん弔くんのこと思い出してほしいやつです…！こういうめっちゃシリアス系好きなので展開がすごく楽しみです。頑張ってください。 (2018年6月17日 23時) (レス) id: 817d133cd9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紺碧 | 作成日時：2017年11月13日 21時
