31話【側にいてほしい】 ページ32
僕はAちゃんが好きだ。
.
AちゃんがA組に編入してきて、早いもので二カ月が経った。
はじめこそ、元ヴィランという肩書きもあり皆とも言葉にし難い微妙な距離ができていたAちゃんだったが、日に日にその距離は縮まり
今では当たり前のように同じ教室で授業を受け共に学校生活を過ごしている。
「終尾〜！ここ教えてくれ！！」
『うん、いいよ』
優しくて勉強もできて、個性も飛び抜けて凄いAちゃんはすぐにみんなの人気者になった。
瀬呂君や上鳴くんや切島君、そしてもちろんかっちゃん。
みんなに囲まれて笑っているAちゃんはとても幸せそうだった。
それでも
どうしてそこに居るのが僕じゃないんだろう...
そう思ってしまう自分がいた。
僕の知っているAちゃんは、誰かと仲良くしているような子ではなく、僕とかっちゃんとしか遊んでいた記憶がない。
それでも、かっこよくて優しいAちゃんが他の誰かではなく、僕を選んで遊んでくれることが心から嬉しかった。
優越感に浸りながら、「Aちゃんが、これからもずっと僕とかっちゃんだけど遊んでくれればいいのに」なんて子供ながらに願っていた。
そんな子供の頃の思い出に浸っては、Aちゃんと過ごした日々を懐かしくそしてもう一度一緒に過ごしたいと切望していた。
僕はAちゃんが好きだ。
Aちゃんだけだった。
誰からも否定されて、無理だと勝手に閉ざされた夢を
Aちゃんだけが認めてくれた。
肯定してくれた。
この"すき"が恋なのか友情なのかそれとも幼馴染としてのものなのか、名前も正体も分からなかったけれど
僕はAちゃんが好きで、隣にいたい側にいたいと切に願っていたのは確かだった。
けれどそれは決して許されない
Aちゃんがいなくなってしまう前
僕の大切な幼馴染がヴィランになってしまう前
僕は
罪を犯したから。
【Aちゃんに側にいてほしい】
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ウタ - 次の展開がどうなるのか楽しみです (2018年7月18日 22時) (
レス) id: 5d727cd1f1 (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - めっちゃいい話だと思います！！更新楽しみにしてます！！ (2018年7月16日 8時) (レス) id: 83591e10d1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - ストーリー展開がとても好みだし、文章が、言葉ひとつひとつが綺麗で好きです。本当に素敵な作品ですね！ (2018年6月24日 21時) (レス) id: bc7a356a9c (このIDを非表示/違反報告)
こパンダ - とてもたのしみにしてます。頑張ってください！ (2018年6月22日 17時) (レス) id: 7360b2bbb8 (このIDを非表示/違反報告)
甘露蜂蜜(プロフ) - あああこれは夢主くん弔くんのこと思い出してほしいやつです…！こういうめっちゃシリアス系好きなので展開がすごく楽しみです。頑張ってください。 (2018年6月17日 23時) (レス) id: 817d133cd9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紺碧 | 作成日時：2017年11月13日 21時
