21話 ページ22
「くそっ！！」
ガンっとコンクリートの壁を殴りつける。
壁には傷１つつかないが、殴った拳には血が滲んでいた。
そんな俺の傷を治してくれていた存在は今
居ない。
ニュースや新聞では、先生やオールマイトの話題ばかりでAの情報は一切報道されなかった。
先生はきっと、自分があの時あの場所で終わることを予測していたのだろう。でなければわざわざあそこに俺たちを飛ばしたりしない。
けれど、Aは違う。
あの時Aがそばに居ないことに気がついていれば。
あの時もっと早くAに手を伸ばしていれば。
きっとAは救えた。
どうしてあの時、自分を犠牲にしてまで俺を逃がしたりなんてした。
お前が居なければ、俺は生きていく理由すら失われてしまうというのに。
Aは俺たちが傷付くことは酷く嫌うくせに、自分が損なわれるは微塵も恐れていない。
Aを失うことがどれだけ俺たちを傷つけるのかを、少しも理解していないから。
A、A....
Aが俺のものにならないなら壊してでも奪い取るつもりでいた。
どんなAでも、それこそ死体であっても愛せる自信があったから。
けれど今はAが何処にいるのかすら掴めていない。
最後に見たAの顔が忘れられない。
俺に愛して欲しいと縋った時と同じ、哀しみを押し殺したような表情。
「くそ！！！！」
「久しぶりですね、死柄木さん」
突然、聞きなれない声がした。
姿を現したのはいつぞやの仲介人。
確か名はギランと言ったか。
「黒霧、なんでこいつを入れた」
「貴方に話したいことがあるとおっしゃってましたので...」
「とばせ
今それどころじゃない」
苛立ちを隠しもせずに吐き捨てる。
「あなた方が愛して止まない終尾Aの情報だってのに？」
「....、はぁ？」
ピタリと弔の動きが止まる。
「終尾Aの情報を、例の"内通者"から受け取った。今喉から手が出るほど欲しい情報だろ？」
「なんで内通者がAのことを知っている。」
「いくらでも教えるぜ、その代わり...」
「金なら出す。さっさと教えろ。」
「話が早くて助かるね。」
ギランは焦らすようにタバコに火をつける。
タバコを燻し、ふーと煙を吐き出しながらこう言った。
「終尾Aは雄英にいる。
それも生徒としてね。」
仲介人がニヤリと笑うのと、弔が触れていた机が灰になるのが同時だった。
「A....」
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ウタ - 次の展開がどうなるのか楽しみです (2018年7月18日 22時) (
レス) id: 5d727cd1f1 (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - めっちゃいい話だと思います！！更新楽しみにしてます！！ (2018年7月16日 8時) (レス) id: 83591e10d1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - ストーリー展開がとても好みだし、文章が、言葉ひとつひとつが綺麗で好きです。本当に素敵な作品ですね！ (2018年6月24日 21時) (レス) id: bc7a356a9c (このIDを非表示/違反報告)
こパンダ - とてもたのしみにしてます。頑張ってください！ (2018年6月22日 17時) (レス) id: 7360b2bbb8 (このIDを非表示/違反報告)
甘露蜂蜜(プロフ) - あああこれは夢主くん弔くんのこと思い出してほしいやつです…！こういうめっちゃシリアス系好きなので展開がすごく楽しみです。頑張ってください。 (2018年6月17日 23時) (レス) id: 817d133cd9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紺碧 | 作成日時：2017年11月13日 21時
