16話 ページ17
演習を終え、制服に着替え終えたA組のメンバーは教室に戻ってきた。
ホームルームも終え、寮に帰った者も数名いたが、殆どの生徒が教室に残っていた。
それぞれが今回の演習で得たものや反省点を話し合っていると、終尾が保健室から戻ってくる。
「あっ、A君おかえり。
その...大丈夫だった？」
心配そうな様子で麗日が駆け寄る。
『大丈夫だよ、リカバリーガールが全部治してくれたから。』
無事を証明するように手をヒラヒラと降る。
傷は跡も残らず綺麗に治っていた。
「よかった！
ほんまにごめんね...」
『気にしないで。』
目が合うとふっと優しく笑った。
すると、なぜか終尾はグッと眉間にしわを寄せ、
『...ごめん、触るな？」
と頬にそっと触れる。
急に顔が近づき、さらには細い指で頬を撫でられ、麗日の顔が朱に染まる。
「え！なっ！」
『ここ、傷が出来てる』
破片で掠った血が少し滲む程度の、それこそ彼の負った怪我と比べてしまえば本当に些細な傷。
そんな傷に恐る恐るといった様に触れ個性を発動させる。
スッと傷が塞がった。
『ごめん、守りきれなかった。』
そう言って謝り、自分を責めるような顔をするAに、ぎゅーっと心臓が締め付けられるように苦しくなった。
「っ〜〜！！A君！ほんまにごめん！そんでありがとう！！A君はうちの命の恩人やね！」
完治した手を両手でぎゅっと握りしめブンブンと上下に振る。
「あ〜！ずるぅーい！私も終尾君と握手する！！」
二人のそんなやりとりを見ていた他の女子たちが、一斉に終尾の元まで駆け寄ってくる。
『えっあの...』
「おいA、かえんぞ」
「ちょっとバクゴー！いっつもA君のこと独占してるんだから今日ぐらい見逃してよね！」
終尾が帰ってくるのを待っていた勝己が声をかけると、ぷりぷりと芦戸が怒る。
他の女子も同調するように声を上げた。
「そうですわ！今日は終尾さんとわたくし達が仲を深める番です！」
「爆豪ちゃんは案外嫉妬深いのね」
「私も！終尾君と仲良くなりたーい！」
「雑魚がうるせぇ。」
そう吐き捨てるように言うと、面倒そうな様子で、鞄を肩に掛け教室を出て行こうとする。
『あっ！待ってかっちゃん！』
「んだよ」
『また、寮でね。』
「....さっさと帰って来い。」
二人のやりとりを、女子たちはニヤニヤと見つめていた。
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ウタ - 次の展開がどうなるのか楽しみです (2018年7月18日 22時) (
レス) id: 5d727cd1f1 (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - めっちゃいい話だと思います！！更新楽しみにしてます！！ (2018年7月16日 8時) (レス) id: 83591e10d1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - ストーリー展開がとても好みだし、文章が、言葉ひとつひとつが綺麗で好きです。本当に素敵な作品ですね！ (2018年6月24日 21時) (レス) id: bc7a356a9c (このIDを非表示/違反報告)
こパンダ - とてもたのしみにしてます。頑張ってください！ (2018年6月22日 17時) (レス) id: 7360b2bbb8 (このIDを非表示/違反報告)
甘露蜂蜜(プロフ) - あああこれは夢主くん弔くんのこと思い出してほしいやつです…！こういうめっちゃシリアス系好きなので展開がすごく楽しみです。頑張ってください。 (2018年6月17日 23時) (レス) id: 817d133cd9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紺碧 | 作成日時：2017年11月13日 21時
