10話 ページ11
終尾がA組に転入してくる当日になった。
皆、ソワソワと落ち着かない様子で先生と終尾Aが教室に入ってくるのを待った。
彼のために、そして他の生徒のためにも席の並びが変えられた教室には、緑谷と爆豪の隣に真新しい机が並んだ。
ーーーーーーーーーーーーーー
「今日からこいつは1-Aの一員としてヒーローを目指す。」
『終尾Aです...よろしくお願いします？』
「大体のことは既に話してある。
不安もあるだろうが、俺たち教師もできる限りサポートする。
まあ、なんか困ったことがあればいつでも言え。」
そう言ってワシャワシャと不器用に頭を撫でられる。
「Aちゃん！こっちだよ！」
不意に名前を呼ばれると、そこには俺に向かって手を振る出久がいた。
「久しぶり！この間は急に遊びに行ってごめんね...」
『ううん、嬉しかった。』
そう言うとパッと花が咲いたように笑う
出久。
俺が入院している間一度だけ、出久が病室を訪れてくれたことがあった。
そこで俺たちはいくつか話をしたが、その会話は柔らかいものとは言い難く、どこかギクシャクとした雰囲気を残していた。
そりゃそうだろう。
俺だっていきなり三年前に行方不明になった友達が現れて、しかも記憶がないだなんて言われたら、何を喋っていいかわからない。
「...Aちゃん？」
物思いに耽っていると、心配した様子の出久に名前を呼ばれる。
『あっ、ごめん。ぼーっとしてた。』
「おい」
出久と喋っていると、反対の隣に座るかっちゃんに声をかけられる。
『かっちゃん？』
「今日なんかあんのか」
『えっと...昼休みは職員室で書類を書くって先生に言われてる。その後は何も無いよ。』
「放課後、校舎案内するから開けとけ。」
『え？』
思いもよらぬ提案に驚くが、隣に座る出久の方が何倍も驚いているので逆に冷静になる。
「あのかっちゃんが....やっぱりかっちゃんはAちゃんのこと....」
とブツブツと小声で話し始めたので、その癖は昔と変わらず健在なんだなと、少し懐かしくなった。
俺の挨拶も終えて、次にクラスのメンバーの自己紹介を順に聞いているが、皆すごい個性ばかりで感心する。
さすが雄英だなと思うと同時に、自分の場違い感が露見するような気がして、なんだか居心地が悪くなる。
俺はこれから始まる新しい生活に想いを馳せながら、不安で胸がいっぱいだった。
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ウタ - 次の展開がどうなるのか楽しみです (2018年7月18日 22時) (
レス) id: 5d727cd1f1 (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - めっちゃいい話だと思います！！更新楽しみにしてます！！ (2018年7月16日 8時) (レス) id: 83591e10d1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - ストーリー展開がとても好みだし、文章が、言葉ひとつひとつが綺麗で好きです。本当に素敵な作品ですね！ (2018年6月24日 21時) (レス) id: bc7a356a9c (このIDを非表示/違反報告)
こパンダ - とてもたのしみにしてます。頑張ってください！ (2018年6月22日 17時) (レス) id: 7360b2bbb8 (このIDを非表示/違反報告)
甘露蜂蜜(プロフ) - あああこれは夢主くん弔くんのこと思い出してほしいやつです…！こういうめっちゃシリアス系好きなので展開がすごく楽しみです。頑張ってください。 (2018年6月17日 23時) (レス) id: 817d133cd9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紺碧 | 作成日時：2017年11月13日 21時
