1話 ページ2
事件から数日経ったある日、世間の混乱が冷め止まぬ中、警察やヒーロー等の事件の関係者が集められた。
大勢の被害を出した神野事件。
不動のNo. 1ヒーローであるオールマイトの事実上の引退。
事件の顛末については散々揉めに揉めながらも一応の話し合いの決着はついた。
今回の議論はまた別の話題だった。
"終尾A"について。
今回の事件に関わるヴィランとして、捕まえることができたのはオールフォーワンと終尾の2名だけ。
オールフォーワンについては一切の酌量の余地なし。
今は重罪のヴィラン専用の拘置所で判決を待っている。
終尾Aの処遇については全くの未定。
過去の犯罪歴を全て隈なく洗ったが、全くと言っていいほど彼は法を犯すような行動はしていなかった。
逮捕をすることもできない。
けれどこのまま解放など出来るわけもない。
彼は今、ミッドナイトの個性によってとある病院で眠っている。
「今回みなさんに集まっていただいたのは他でもない。
ヴィラン連合の一員だった終尾Aのこれからについて決めなければいけません。」
今回の事件の責任者がマイクを取る中、オールマイトが手を挙げる。
かつての勇ましいマッスルフォームではない、骨のような弱々しい姿で。
マイクを受け取ったオールマイトは、かつてと唯一変わらぬ、強い光を持った瞳ではっきりと告げた。
「単刀直入に言います。
彼を雄英で保護させてください。」
「！！！！！？？」
ざわりと場が困惑に揺れる。
ひそひそと訝しげに話し込む者がいたが、オールマイトはそのまま続ける。
「これは雄英側の総意です。
何度も我々で話し合いを重ね決めました。
皆さんも知っていると思いますが、彼は幼い頃から虐待を受け、それを助けてくれる大人もいなかった。
彼は、我々が"救えなかった側"の人間だ。
言わば彼も被害者の一人です。
これ以上、終尾少年に不幸な現実を見せたくは無いのです。
彼はヒーローを目指せる立派な個性を持っています。
生まれ方さえ違っていれば、生徒達とともに夢を追う子供だったはず。
雄英は彼を救いたい。
守るべきヒーローとして、支えるべき大人として。」
誰もが口を噤み、何も言えなかった。
彼が言ったのは紛れも無い正論だったから。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1326人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ウタ - 次の展開がどうなるのか楽しみです (2018年7月18日 22時) (
レス) id: 5d727cd1f1 (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - めっちゃいい話だと思います！！更新楽しみにしてます！！ (2018年7月16日 8時) (レス) id: 83591e10d1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - ストーリー展開がとても好みだし、文章が、言葉ひとつひとつが綺麗で好きです。本当に素敵な作品ですね！ (2018年6月24日 21時) (レス) id: bc7a356a9c (このIDを非表示/違反報告)
こパンダ - とてもたのしみにしてます。頑張ってください！ (2018年6月22日 17時) (レス) id: 7360b2bbb8 (このIDを非表示/違反報告)
甘露蜂蜜(プロフ) - あああこれは夢主くん弔くんのこと思い出してほしいやつです…！こういうめっちゃシリアス系好きなので展開がすごく楽しみです。頑張ってください。 (2018年6月17日 23時) (レス) id: 817d133cd9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紺碧 | 作成日時：2017年11月13日 21時
