8話 ページ9
〜相澤消太side〜
第一印象大人しそうな子供。
警察の聴取に付き添う形で、事件以来初めて終尾Aと顔を合わせた。
「三年前に誘拐されたという話は聞いたかな？」
『はい。』
「では、簡単な質問をいくつかさせてもらうよ。」
自身が大きな事件に巻き込まれたと聞いたにもかかわらず、騒ぐでも、慌てるでもなくただ淡々と話を聞いていた。
さりげなく、記憶を消しきれているのか探りを入れていく警官の質問を聞きながら、俺は終尾にどうやって雄英入学についてを伝えようか考えていた。
元々はオールマイトさんが来るはずだったのだが、急用が出来たとかで急遽俺が説明をすることになった。
不合理にもほどがある。
「何か聞きたいことはないかな？」
質問を終えたらしい警察は今度は反対に、終尾に何か質問はないかと尋ねた。
終尾Aはどこか虚ろな瞳をこちらに向ける。
初めてしっかり目があったような気がした。
『...俺の...父親は？』
「君が居なくなってから、警察の捜査を受けた。
実刑を受け今は捕まっているよ。
もうじき出所するだろうが...」
『....そうですか』
消え入りそうな声だった。
終尾の父親は、彼が誘拐されてから虐待の事実が表立ち、保護責任者遺棄罪で逮捕された。
終尾がいなくなってからだ。
事の重大さにに周りが気がついたのは、全てが手遅れになってからだった。
父親について聞いた後にようやく見せた終尾の幼げな表情は、俺の心をひどくかき乱した。
ーーーーーーーーーーーーーーー
相澤消太と名乗る、ぱっと見ヒーローには見えないヒーローが語った話は、耳を疑うものだった。
特例で入学を認めるので是非とも雄英に入って欲しいと。
一体なんの冗談だと思ったが詳しく聞くと本当のことらしい。
リハビリと同時進行で入学についての手続きを済まし、体が万全に戻ったら授業に参加すると言われた。
かっちゃんや出久と同じ高校に通うことができるのは嬉しいが、何しろ急すぎる。
雄英は全寮制を導入するらしく衣食住は確保されていると言っていた。
父親はもう居ない。
帰る家すらない俺にはきっと拒否権なんてない。
学校か、あまりいい思い出はないな。
何も期待しない方がいい。
誰かに背中を押されて突き落とされるぐらいなら
最初から絶望の底にうずくまって居た方が
きっと傷は浅いから。
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ウタ - 次の展開がどうなるのか楽しみです (2018年7月18日 22時) (
レス) id: 5d727cd1f1 (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - めっちゃいい話だと思います！！更新楽しみにしてます！！ (2018年7月16日 8時) (レス) id: 83591e10d1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - ストーリー展開がとても好みだし、文章が、言葉ひとつひとつが綺麗で好きです。本当に素敵な作品ですね！ (2018年6月24日 21時) (レス) id: bc7a356a9c (このIDを非表示/違反報告)
こパンダ - とてもたのしみにしてます。頑張ってください！ (2018年6月22日 17時) (レス) id: 7360b2bbb8 (このIDを非表示/違反報告)
甘露蜂蜜(プロフ) - あああこれは夢主くん弔くんのこと思い出してほしいやつです…！こういうめっちゃシリアス系好きなので展開がすごく楽しみです。頑張ってください。 (2018年6月17日 23時) (レス) id: 817d133cd9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紺碧 | 作成日時：2017年11月13日 21時
