18話 ページ19
また明日！とみんなに見送られながら教室を出る。
"明日"という確証があるだけでこんなにも足取りが軽くなるものなのかと驚いた。
今までの俺にとって"明日"は絶望でしかなかった。
毎晩寝る前に
二度と目を覚まさなければいい、眠っている間に誰か俺を殺してほしい、と願いながら眠った。
そして朝目が覚めて、当たり前のように朝日が昇っていることに毎度飽きることなく落胆するのだ。
部屋を訪ねると、かっちゃんはベットに横になっていた。
『ただいま』
「おーおかえり」
"おかえり"なんて最近になって初めて言われた。
まるで自分に帰るべき場所ができたような気がして嬉しかった。
【彼の俺への優しさは贖罪であり、愛ではない】その事実で罪悪感で胸がチクリと痛んだが気づかないふりをする。
「こっち来い」
かっちゃんは起き上がり、ベットをポンポンと叩く。
言われるがまま隣に座ると、かっちゃんは俺の腕を取り制服の袖をめくる。
腕を怪我したと聞いたのだろう、
醜い傷だらけの腕が空気に晒される。
俺の腕は、父親に押し付けられたタバコの火傷跡や、何度もナイフで切りつけられできた刃物の傷でひどく爛れ引きつっていた。
たまに皮膚が突っ張る程度で、日常生活にはほとんど支障ないが、自分で見てもお世辞にも綺麗とは言えない代物だった。
醜く汚い部分を人に見られるのはあまり好きじゃない。
けれどかっちゃんはそんな腕に優しく触れた。
「...お前がケガしたって聞いて心配した。」
『ごめんかっちゃん、でも大丈夫だよ。もう治ったから。』
ひじからそっと指を這わせ、手の甲に辿り着くと手を強く握られた。
手を握ったまま動かなくなってしまったかっちゃっんに、どうしたんだろうと顔を上げると俺を見つめる瞳と目があった。
何かを探るようにじっと見つめられる。
「お前、あの破片の物質本当にわかってたんか」
あぁ、バレてたのか。
麗日さんの目の前に飛び出したはいいが、正直に言うと飛んできた破片の構成を俺は知らなかった。
咄嗟に鉄だと判断して個性を発動させたけれど、もし違っていたら腕の怪我どころじゃ済まなかっただろう。
『ごめん、でも体が勝手に動いてた。』
「謝んな。謝って欲しいわけじゃねぇ。」
「学校、たのしいか」
かっちゃんが優しく諭すような声色で尋ねる。
『うん楽しいよ。
優しいね、みんな。』
俺はかっちゃんの目を見ることができなかった。
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ウタ - 次の展開がどうなるのか楽しみです (2018年7月18日 22時) (
レス) id: 5d727cd1f1 (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - めっちゃいい話だと思います！！更新楽しみにしてます！！ (2018年7月16日 8時) (レス) id: 83591e10d1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - ストーリー展開がとても好みだし、文章が、言葉ひとつひとつが綺麗で好きです。本当に素敵な作品ですね！ (2018年6月24日 21時) (レス) id: bc7a356a9c (このIDを非表示/違反報告)
こパンダ - とてもたのしみにしてます。頑張ってください！ (2018年6月22日 17時) (レス) id: 7360b2bbb8 (このIDを非表示/違反報告)
甘露蜂蜜(プロフ) - あああこれは夢主くん弔くんのこと思い出してほしいやつです…！こういうめっちゃシリアス系好きなので展開がすごく楽しみです。頑張ってください。 (2018年6月17日 23時) (レス) id: 817d133cd9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紺碧 | 作成日時：2017年11月13日 21時
