4話 ページ5
『オール...マイト』
「終尾少年....」
必殺技を考えるためにやって来た演習場。
今日の監督官は"元"ナンバーワンヒーロー。
オールマイト
「やあ、こうやって2人で話すのは初めてだね。すまないね、君の知っている姿では無くて」
そう言ってオールマイトは細い棒のような腕を持ち上げて見せる。
『....はじめまして』
怪我の治療のため入院をしていたオールマイトは、もちろん教師としての仕事もその間は休止していた。
今日は退院を終えてから初めての授業だ。そして、終尾との初めての対面の場でもあった。
「君の話は色々と聞いているよ。大変だったね、どうだい雄英での生活は？」
『...みんな、良くしてくれます』
「そうか、それは良かった」
ホッと安心したように笑う彼の頬はこけ、今にも折れそうな手足は自分の体重を支えるのに精一杯といった様子だ。
その姿からかつての勇ましいヒーローなど連想しようもなかった。
けれどその目だけは、かつての光を失っていなかった。
昔からテレビ越しに知る、
沢山の人々を救ったヒーローの瞳だった。
光る瞳の奥に宿る揺るぎない正義 。
平和の象徴
オールマイト
.
俺は彼に憧れたことがない
オールマイト
不動のNo.1ヒーロー
平和の象徴
圧倒的なパワーとタフネスで数え切れないほどの人々を救ったまぎれもないNo.1ヒーロー。
人々は彼を賞賛し、誰もが彼の背中を追いかけ憧れた。
昔からかっちゃんや出久は「凄いね！かっこいいね！」とキラキラした目で興奮したようにオールマイトを褒め称えた。
その姿に憧れて二人が雄英を志したのももちろん知っている。
オールマイトは誰もが認めるヒーローで、沢山の人達を救ってきたけれど
俺のヒーローではなかった。
オールマイトが笑みを絶やさず力の限り人々を助ける様を
俺は薄汚れた暗い部屋の中、傷だらけの体を抱えながらテレビ越しにその姿を見ていた。
ゴミだらけの薄暗くタバコと自分の血の匂いに溢れた部屋に、キラキラ輝くオールマイトの笑顔が酷く不釣合いだったのを覚えている。
ブラウン管越しの夢物語のような救出劇を見ていると、
『どうして俺のことは救ってくれないのだろう』
と八つ当たりのような感情が浮かんだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1552人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
とく - 今日見つけて一気見した勢です。凄く素敵でした。良かったです。更新楽しみにしています。 (2020年6月9日 15時) (
レス) id: 7ea0d5ffd3 (このIDを非表示/違反報告)
闇狐 - ビィランとの絡みをもう少し書いて欲しかった (2019年2月11日 22時) (レス) id: b32f6ac6e2 (このIDを非表示/違反報告)
わらびもち - 最高でした！ もう最初から最後まで一気読みで ページをめくる指が止まりませんでした！ [if] もインパクトありすぎで とってもおもしろかったです 次回楽しみにしてます (2018年12月25日 0時) (レス) id: 2c770ba3a7 (このIDを非表示/違反報告)
霊華 - 何か僕の好きな曲に似てる (2018年11月20日 21時) (レス) id: 55c6bf7b1a (このIDを非表示/違反報告)
てい - 最高です、作品の雰囲気が儚くて美しくて大好きです。 (2018年9月8日 20時) (レス) id: c41ce6be94 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紺碧 | 作成日時：2018年8月10日 20時
