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盆が近まると夢を見る
Aが生きて居た頃の
いや、違う
Aが生きていたらあったであろう未来の夢だ。
当たり前のようにAが生きていて
当たり前のように雄英の制服を着て
当たり前のように俺の隣にあいつがいる
そんな夢だ。
初めてその夢を見たのはAが死んだ次の夏だった。
あの時死んだはずのAが、
俺の隣で幸せそうに笑っていた。
これは夢だと一瞬で気がついた。
Aが屈託もなく笑うところなんて、生きていた頃に一度も見たことが無かったから。
その頃の夢では、Aは中学の制服を着て俺と同じ教室で授業を受けていた。
"普通"の学生と同じように『俺、雄英を受験しようと思ってるんだ』と進路について楽しそうに語るAを見て
(あぁ、これは俺がAに望んでいた未来の夢だ)と悟った。
こんな風に、Aが未来に一つの不安も抱くことなく笑えるような日常を過ごしてほしいと俺は願っていた。
Aが死ぬ前から、ずっと。
したいこと、行きたい所を楽しげに語り、時にはささやかなわがままで俺を連れまわす。
夢の中にいるAは幸せそうだった。
この夢が俺の罪悪感が生んだ幻影なのか、それともあの時の約束が招いた呪いなのかは分からないけれど、
俺の夢の中でAは確かに生きて居た。
俺の思い出から形成された偽者ではない、終尾Aそのものが夏の幻の中で生きていたのだ。
Aはもういいのだと言った。
あの時の約束を忘れていいと、もう囚われなくていいのだと、酷く悲しそうな顔で言った。
.
ふざけるな
誰が忘れたいなんて言ったんだ。
ずっと
それこそ俺が死ぬまでAは紛れもなく俺の一番だった。
あんな約束なんかしなくたって、俺の中でAを殺すなんて絶対にしなかった。
たとえ夢の中でもAが幸せになれる世界が存在するならそれで良かったんだ。
月日は流れる
Aは永遠に13歳の子供のまま
Aを置き去りにして
俺だけが大人になる
どんなに夏が巡っても
もう、
Aの夢は見なかった。
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とく - 今日見つけて一気見した勢です。凄く素敵でした。良かったです。更新楽しみにしています。 (2020年6月9日 15時) (
レス) id: 7ea0d5ffd3 (このIDを非表示/違反報告)
闇狐 - ビィランとの絡みをもう少し書いて欲しかった (2019年2月11日 22時) (レス) id: b32f6ac6e2 (このIDを非表示/違反報告)
わらびもち - 最高でした！ もう最初から最後まで一気読みで ページをめくる指が止まりませんでした！ [if] もインパクトありすぎで とってもおもしろかったです 次回楽しみにしてます (2018年12月25日 0時) (レス) id: 2c770ba3a7 (このIDを非表示/違反報告)
霊華 - 何か僕の好きな曲に似てる (2018年11月20日 21時) (レス) id: 55c6bf7b1a (このIDを非表示/違反報告)
てい - 最高です、作品の雰囲気が儚くて美しくて大好きです。 (2018年9月8日 20時) (レス) id: c41ce6be94 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紺碧 | 作成日時：2018年8月10日 20時
