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「かっちゃん！！」
「かつき！！」
目を開けると飛び込んできたのは俺の手を握りしめて泣いているババア。そして、その隣で俺の実母以上にぐちゃぐちゃでになった顔で泣きじゃくるクソデクの姿だった。
ここは...病院？
体が鉛を呑み込んだかのように重く言うことを聞かない。
Aは？Aはどうした。
「かっちゃん！！
良かった、よかったぁ....」
世界でたった二人
俺のことを"かっちゃん"と呼ぶA以外の片割れが、耳元で騒いでいる。
「.....うるせぇ」
絞り出した声は、まるで声の出し方を忘れてしまったかのように、すっかりかすれ切っていた。
それもそのはずだ。
俺は一週間以上眠りこけていたらしい。
寮の部屋から出てこないのを勝手に心配した奴らが、眠ったまま目覚めない俺を見つけた。
どれだけ声をかけても起きる気配のないのをおかしいと思った先生達は、俺を病院へ運び出した。
けれど、どんなに医者が調べても俺が目覚めない理由が分からなかった。
このまま眠り続けたら命が危ないとまで言われたらしい。
Aがあの時の俺を突き放した理由が、その時になって漸く分かった。
Aと過ごした雄英の日々は全て夢だった。
Aは死んだ。
中1の夏に、
ヴィランの気まぐれで殺された。
俺を待つあの公園で。
あのクソ親父はAの葬式なんてものもあげなかったので、荼毘されたAの遺骨は近くの集合墓地に放り込まれた。
Aの死の実感すら得られないまま
俺の手元に残ったのは、
一冊の日記だけだった。
中学に上がってから書き始められた半分ほどしか使われることの無かった日記には、その日Aにあったことが簡単に綴られている。
そこには、Aの叶えられることの無かった小さな夢が書き連ねられていた。
８月１５日で止まった日記の最後にはこう記されていた。
『かっちゃんと、また笑いあいたいな』
俺が目覚めた日
今日は
Aの命日だ。
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とく - 今日見つけて一気見した勢です。凄く素敵でした。良かったです。更新楽しみにしています。 (2020年6月9日 15時) (
レス) id: 7ea0d5ffd3 (このIDを非表示/違反報告)
闇狐 - ビィランとの絡みをもう少し書いて欲しかった (2019年2月11日 22時) (レス) id: b32f6ac6e2 (このIDを非表示/違反報告)
わらびもち - 最高でした！ もう最初から最後まで一気読みで ページをめくる指が止まりませんでした！ [if] もインパクトありすぎで とってもおもしろかったです 次回楽しみにしてます (2018年12月25日 0時) (レス) id: 2c770ba3a7 (このIDを非表示/違反報告)
霊華 - 何か僕の好きな曲に似てる (2018年11月20日 21時) (レス) id: 55c6bf7b1a (このIDを非表示/違反報告)
てい - 最高です、作品の雰囲気が儚くて美しくて大好きです。 (2018年9月8日 20時) (レス) id: c41ce6be94 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紺碧 | 作成日時：2018年8月10日 20時
