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結局アイツは部屋を出ていった
はぁ、とため息をつけば聞こえるすすり泣く声
顔を覆っているその手は微かに震えていて、余っ程怖かったのだろうと感じる
『やましょーさん、遅くなってごめんなさい』
「っぅ…こわ、かった、」
『もう大丈夫です、俺がいるから』
向き合う形にして抱きしめれば、ぎゅうっと強く抱きしめ返してくる
『しょへっ、しょうへい…っ』
俺より少し小さいやましょーさんは腕の中にすっぽり
入って何度も名前を呼んでくる
はだけた服にうるうるした目、更にはこの状況
どうにも俺の視覚と理性が危うい
でもやましょーさんを傷つけたくない、
ギリギリで残った意思でなんとか耐えた
もう大丈夫だという意味を込めて、ふわっと頭を撫で
額に触れるだけのキスを落とす
『行きましょ、みんな待ってるから。』
ずっとこの状態だと俺が危ない、ほんとに。
自分を落ち着かせるために素早く戻ろうとする
……いや、しようとした
なのに、一向に動こうとしないやましょーさん
『やましょーさん、、?』
「………て、」
『え?聞こえないです。』
「…上書き、してほしいけぇ、」
『っ、いやでも……』
「わかっとる、わかっとるけど…!翔平んじゃないもんでやられて、気持ち悪くて、思い出しただけでゾッとするんじゃ……っ」
そう叫ぶやましょーさんの目にはまた涙が溜まっていて
「だからっ、おねがい、翔平…ッ」
俺に再び抱きついた瞬間、ぽろりと落ちた
陸さんに '' 遅くなります '' とだけ連絡をいれてスマホの電源を切る
『そんなこと言われたら我慢できないんですけど』
「別にええ、優しくせんでええから」
『はぁ、もう……煽んないでよ、彰吾。』
机にトンッと優しく乗せて、先程とは違う噛み付くようなキスをする
やましょーさんが少し口を開けたのと同時に自分の舌を滑り込ませて口内を荒らす
するとやましょーさんは首に腕を回してきて、もっと欲しいと求めるように俺を寄せてくる
「んぅ…っはぁ、翔平?」
『なに?』
「翔平のちょーだい……?」
もうすでに蕩けきった顔に理性というものは感じ取れなくて、欲望のままに俺を求めてくる
…その顔が俺のなにかを掴んで離さない
数分後俺はアイツに対する怒りとやましょーさんに対する独占欲を全てぶつけていた
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倖結(プロフ) - falling into...のパスワードを教えて頂きたいです!🙏 (10月31日 21時) (レス) id: 6e4d351975 (このIDを非表示/違反報告)
悪微ぢゃん(プロフ) - コメント失礼致します!華楼妃様の書くお話がめちゃくちゃ好きで毎日繰り返し読んでます…!Twitterの方フォローさせて頂いたのですが、許可して頂けますでしょうか?m(__)m (2022年4月8日 1時) (レス) @page40 id: 03264a8bc6 (このIDを非表示/違反報告)
あ(プロフ) - 了解です!Twitterフォロー失礼しますm(__)m (2021年6月17日 1時) (レス) id: da6213cbf3 (このIDを非表示/違反報告)
華楼妃(プロフ) - あさん» こちらこそリクエストありがとうございます!遅くなり申し訳ございません(>_<)Twitterにて陸さんsideを書こうかなと思っております……(^-^) (2021年6月17日 1時) (レス) id: 2a38bf0848 (このIDを非表示/違反報告)
あ(プロフ) - まこしょご最高でした!これからも続きとか書いてもらえたら嬉しいです…^^; (2021年6月16日 21時) (レス) id: da6213cbf3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:華楼妃 | 作成日時:2020年8月4日 0時