待ち伏せのウツボ#1 ページ30
「こんにちは、Aさん」
＿＿今日は、いい日だと思っていたのに。
ユウさん達に断って先にオンボロ寮に帰ったら、ニッコリと読めない笑顔の…ジェイド先輩が居た。…相変わらず、嫌い、と言うほどでもないが相手をするのは正直苦手。思わずぴくりと頬が引きつってしまったが、気付かれていないだろうか。
「今日は何の御用ですか」
「…悪い人ですね」
「？急にどうしたんですか…
……なんとでもおっしゃってください」
「おや、否定なさらないのですか？」
「…えぇ。まぁ」
「意外ですねぇ」
(…よく言うよ)
本当に思ってもないことを易々と言ってのける人だ。
「それより本題を」と急かすと「本当に忘れてしまっていたのですか」と肩を落としたジェイド先輩。昼間のエペルさんのようなしょぼん、と聞こえてきそうな落ち込みぶりだが、そこには可愛らしさの欠片もない。
「…ラウンジでの無償労働、一週間分ですよ
あの、ハーブティーのペットボトル販売の方法を教えるのと引き換えにした」
「！」
そこまで先輩が言って、やっと思い出した。
(なんでこんな魅力的な取引を忘れてたのかな…！)
口約束だったから？色々あったから？
…やっぱり此処での私はどうもぬけている。
嬉しい変化もあったけど、この変化はいただけない。
(……そういえば、お母様から何もないな)
「あまりにもAさんがいらっしゃらないので、早くに加工方法の改善に取り組んで成功させたアズールが拗ねていましたよ……大丈夫ですか？」
「！…はい」
また、考えこんでしまったらしい。
…度重なる自分の失態に頭が痛くなりそうだ。
その一方で「すみませんが、もう一度話していただけますか？」と頼む。しかしジェイド先輩は「聞き流して結構でしたよ」と微笑むばかりで、話してくれない。
(モヤモヤする…！)
「ジェイドせ「にしても、」
モヤモヤを抑えきれずに口を開くも、この話題はやめ、と言わんばかりにジェイド先輩が会話を区切る…
「僕としてはAさんの悩み事の方が気になるのですが…」
「ジェイド先輩には関係の無いお話ですわ」
が、ただ立場が逆転しただけだった。
「どうもモヤモヤしてしまいまして…」とわざとらしく言ってくるジェイド先輩。「それは大変ですね」とこちらも思ってもない言葉を返せば、そのギザギザの歯を覗かせて「フフフ」と笑う。
「っ、」
それはいつもの胡散臭い笑顔、のはずなのに。
背筋に悪寒が走るような気がしたのは何故だろうか。
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のま(プロフ) - マザーグースさん» 続編にもコメントして頂きありがとうございます！、ほんとに嬉しくてモチベあがりました…！頑張ります！ (2020年8月12日 12時) (
レス) id: d72737bac0 (このIDを非表示/違反報告)
マザーグース - この作品大好き…更新頑張ってくださいね。 (2020年8月10日 23時) (レス) id: 446891bd7a (このIDを非表示/違反報告)
のま(プロフ) - 桜雪さん» うああ、ほんと読んでくれてありがとう…！そこまで言って貰えるとほんと自信持てます、、更新頑張れる(*´ω`*) (2020年6月15日 8時) (レス) id: d72737bac0 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - どうしてこんな神作品今まで知らなかったのか激しく後悔したよのまちゃん。もう秒でお気に入りした、、、、、、設定も描写もはっきりしていてとっても好きです超面白かった、、！ (2020年6月15日 1時) (レス) id: ef0eaf48d3 (このIDを非表示/違反報告)
のま(プロフ) - Aさん» う、あ嬉しすぎて語彙力が消失してますすみません…！そういったコメント頂けるだけで低評価とか吹っ飛ぶくらいです笑 本当にコメントありがとうございます。自信を持って、完結まで向かわせていただきます！ (2020年6月14日 7時) (レス) id: d72737bac0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：のま | 作成日時：2020年5月28日 7時
