約束トラベル！#1 ページ26
窓の先には、雲一つない晴天が…！
そう言い切りたいところだったけれど、残念なことにその白い雲は窓の下部を沿っていた。
私は今、空を飛んでいる。
「貴方がA・メテオーラなのね！」
会って間もないお嬢様と一緒に。
…会って間もない、というか、拉致されて間もない、というか……
さっきまで私はいつも通りの“必要最低限の常識”レッスンを受けた後、少ない休み時間をストレッチで満喫していたはずだった。なのに突然現れた黒服に俵担ぎにされ、小さめの飛行機＿所謂お金持ちの象徴、プラベートジェットに乗せられていたのだ。
訳がわからない。
しかし幸いにも、この人達に悪意は感じられなかった。
「そう、です」
嬉々として手を取ったその勢いに気圧されながら、頷く。
私よりも幼く見えた彼女だが、黒服といいこの飛行機といい、身分は明らかに彼女の方が上だった。
「会えて嬉しいわ！よろしくね」
「は、はい」
「…？」
肯定する機械のようにまた頷けば、さっきまでの無垢な笑顔が一変、彼女は首をこてんと傾げて不思議そうにこちらを見た。勢いに負けて愛想のない返しになっていたのがいけなかったのか。
「も、申し訳「あぁ、違うわ！謝るような事はしてないわよ、貴方」
頭を下げるよりも先に、彼女がそれを手で制した。
＿＿『A！』
そんな使用人への態度に、もう2ヶ月は会っていない彼の姿が浮かぶ。
どこか作業的で味気のなかった乾いた日々を変えてくれた人。
久しぶりに、会いたいなぁ。
「ただ、もしかして貴方、何も聞いてないんじゃないかって」
桃色の目が、じっと私を見上げる。
初対面の人間に向けるにしてもやけに真摯なその視線に、またたじろぐ。それに質問の内容だ。「何も聞かされてない」ってこれは拉致でなく、約束されたものだったの？
(なら、敵意がないのも納得だけど…)
一体誰がこんな約束を？
「あぁやっぱり。聞いていないんでしょう」
沈黙を肯定と見た彼女が、今度は満足げに頷いた。
「貴方のお母様にパーティでお会いしてね、貴方に興味があるからってお願いしたのよ」
「お母様、ですか…」
なるほど、聞かないわけだ。
お父様ならまだしも、お母様は抜けているところがある。
きっと忘れてしまったのだろう。
「申し訳ありません。少し抜けた人でして…」
「いいのいいの、気にしてないわ！」
…理由がどうあれ、普通なら怒鳴り散らしてもおかしくないのに。
不思議な人だ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1214人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
のま(プロフ) - コッペパンさん» 更新止まってしまって申し訳ないです泣。応援ありがたいです…！最近リアルがばたついていて、相変わらずの不定期更新になりますが、完結まで頑張ろうと思っていますので、引き続きよろしくお願いします！m(__)m (2020年9月5日 16時) (
レス) id: 7b6725898c (このIDを非表示/違反報告)
コッペパン - このお話本当に好きです……！！！とても良いところで止まっているので続きが気になります！(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o))) 応援しています！これからも頑張ってください！ (2020年8月22日 18時) (レス) id: fe7138416d (このIDを非表示/違反報告)
のま(プロフ) - アヤさん» ざわざわ…()実はTwitterで習得済みの知識だったりします(。あの描写をどう捉えるか…全て読者様次第です笑 (2020年8月3日 22時) (レス) id: 354945433c (このIDを非表示/違反報告)
アヤ - すんごいどうでもいい話なんだけど、タコの8本足の内一本は珍子らしいよーってツイステ民の5割りが騒いでた(( (2020年8月2日 2時) (レス) id: aa6ec04d37 (このIDを非表示/違反報告)
のま(プロフ) - 花さん» ありがとうございます！これからも頑張ります〜 (2020年8月1日 16時) (レス) id: d72737bac0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：のま | 作成日時：2020年6月13日 19時
