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秋風 4 ページ34





俺が用意してきた作戦を伝えると、佐久間の顔が強ばるのを感じた。それも仕方ない。そのくらいの内容のことを俺は伝えたのだから。彼は少し間を置いた後、怒りを含んだ声色で言った。


「それは危な過ぎるよ!!」


しかし、俺は動じない。だってここまでは想定内の反応だったからだ。多少は怒られるのも覚悟してきた。だから俺は彼に対して冷静に言葉を返す。



「この作戦、危ないのは俺だけじゃないでしょう?」


「ま、まぁそうだけど…。」



それでも納得いかないという顔をしている佐久間。きっとこれ以上、友達に傷付いて欲しくないのだろう。…優しい人だよね、まったく。俺は表情を緩めると、ゆっくりと口を開いた。



「もし俺がピンチになったら助けてくださいね?」


「…何それフラグ?」


「はは。それはヤバいな。両親が倒れちゃうかも。」


「ホント、笑えないよ…」



俯いたまま言う彼に、俺は内心驚いていた。まさかこんなにも反対されると思わなかったからだ。ある程度の反対は予想してたものの、結構認めて貰えない。思った以上に粘られている。しかし、自分もあっさり折れる訳にはいかないのだ。どうしても皆の力が必要なんだ。この作戦だって皆がいないと成り立たない。俺一人じゃダメなんだ。



「…協力してくれるよね?」


「…そんなこと言っちゃって。俺がほっとけないこと知ってるくせに。」



不貞腐れたように、そっぽを向きながら彼は呟いた。漏れる溜め息には様々な感情が交ざっている。もちろん怒りや悲しみも…優しい温もりまで。多分、頷きたくないのだろう。心の中で葛藤しているのが、目に見えるように分かる。もう一押しだ!と俺は思い、自分の両手を合わせた。



「お願い…します。」


「はぁーーー」



佐久間が大きな息を吐き出す。その時、俺は勝ったのだと確信した。彼は苛立ちからか、さほど大きくない手で髪の毛を掻き回すと、睨むように俺を見た。



「その代わりさ、約束してよ。」


「え…」


「絶対怪我するなよ?」


「…難しいことを言いますよね、本当に。」



俺の目の前に小指が差し出される。そっと自分のものを絡めると、彼はキュッと唇を結んだ。その表情に空気が変わるのを感じる。何か重要なことを彼が言おうとしていることに気付かないほど、俺は鈍感ではなかったらしい。



____________



Twitter→@0301fight0427


フォロリク通らない人は
必読のprivatter読んでください(>_<)



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紫暮姉(プロフ) - 主さん» コメントありがとうございます。このところ更新が遅くなってしまい申し訳ありません。ですが最高の作品と言って頂けて、とても嬉しいです。これからも応援よろしくお願いしますね (2020年8月23日 0時) (レス) id: e560777b7f (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 初めまして!主と申す作者をやらせてもらっているものです!あべさく大好物の私にとって最高の作品で楽しく読ませてもらってます!更新頑張って下さい! (2020年8月13日 10時) (レス) id: 9a88ff9636 (このIDを非表示/違反報告)
紫暮姉(プロフ) - 藤菜さん» コメントありがとうございます!!!面白いですか?!そんな風に言ってもらえて凄く嬉しいです。少しずつですが更新していくので応援よろしくお願い致します。 (2020年6月28日 1時) (レス) id: e560777b7f (このIDを非表示/違反報告)
藤菜 - 初めまして!佐久間大好き!あべさくコンビも大好きです!この小説とても面白いですね!頑張ってください!応援してます! (2020年6月28日 0時) (レス) id: f78a68b7f1 (このIDを非表示/違反報告)
紫暮姉(プロフ) - めぐみみさん» コメントありがとうございます!ずっと書きたかったので、拙い文章ですが応援よろしくお願いします。 (2020年6月13日 10時) (レス) id: e560777b7f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紫暮姉 | 作成日時:2020年6月11日 20時

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