恋愛低体温

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「A〜、ちゃんとご飯とか作ってるのー？」


「作ってるよー」


「一人だからって
出来合いのものばかり食べちゃ駄目よー？」



「うーん」







カウンターキッチンの向こうで
お母さんが声を張り上げてる。




実家に帰るとこの手の話ばかり。
お母さんは食べ物とお金の心配ばかり。








「大きくなったねぇ、シンくん」




本日の貢ぎ物。
どうやら気に入ってくれたらしく、
最近お気に入りだという人形で夢中になって遊ぶ、甥っ子。







「Aちゃん もっと帰ってきなよー。
うちらのことは気にしなくていいからさー。」



「そうじゃないの…
仕事終わるのが遅いから…」







私より年下の兄嫁は元ギャル
今も名残あり。

兄が最初につれてきた時は
家族みんなビックリしたもんだ。



こんな若くて派手な女の子が
兄のような つまらなそうな男と合うのだろうかと…

遊ばれてるんじゃないかと心配してたんだけど…あれよあれよと授かり婚。


人懐こい彼女は、両親ともうまくやっているようで、只今お腹の中に二人目を妊娠中。

娘の私より可愛がられているかもしれない。








「彼氏でも出来た？」


「……出来てないし。」


「なーんだ。彼氏とイチャついてて忙しいのかと思ったぁー」






つまらなそうな口ぶりで
膨らみ始めたお腹を隣で擦る兄嫁


その顔は全然つまらなそうじゃなく、
むしろ幸せそうで…






「誰かいないのー？いい人！
好きな人とかさぁー」






少しだけ心がチクンてなる。







兄夫婦と同居することになって
家をリフォームした。

背面だったキッチンを対面式にして
水回りもやり直した。




この家だって随分変わった。
兄なんて二人の子供の父親になるっていうのに、、





私だけ
なんにも変わらない。








「…いないよ、そんなの」


「えー。カッコいい人とか来ないわけ？
あっこの図書館！」



「………変な人はいた、、けど」


「ちょっとぉー！少しはラブい話も持ってきてくんないとー！最近遠ざかってんだからトキメかせてよねー！」







私だけ
時間が止まってるみたい

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